モアの跡地に、宿ができた理由

SEKAI HOTELの客室「N.2 Doors」は、実はこの喫茶モアの跡地にある。今はすぐ近くに場所を移したモアだけれど、あの空間に流れていた“まちの温度”は、ちゃんと宿の中にも残っているような気がする。
たとえば、「N.2 Doors 」に泊まった次の日の朝。部屋を出て、通りを歩き、喫茶モアでジュースを飲む。それだけで、旅というより、暮らしの延長みたいな時間になる。
観光地に向かう途中の“立ち寄り”ではなく、まちの一部として迎え入れられるような感覚。その感覚こそが、SEKAI HOTELがこの場所に宿を構えた理由かもしれない。
昭和の香りと、今のやさしさ

2025年4月から、喫茶モアは全席禁煙になった。タバコの煙が似合う店でもあったけれど、今はその香りを、果物とコーヒーの匂いにゆずっている。

店内のソファは、ひとつひとつが微妙に形も色も違っていて、どれも絶妙にレトロ。猫足のローテーブルに、大理石風の天板。飾られた造花の横には「化粧室」の文字。

今っぽくしようと思ってもできない、あの感じ。モアのインテリアは、“時代”じゃなくて“気配”でできている。
そして、エプロン。これは市販品じゃない。スタッフひとりずつの好みにあわせて、誰かが縫ったもの。肩紐の幅も、ポケットの位置も、ちょっとずつ違う。
