船長に訊くアオリイカ長竿釣法のコツ
『野毛屋釣船店』の名物船長・黒川勇治船長に、手バネシャクリでもティップランでもない、長竿釣法によるアオリイカ釣りについて訊いた。
──例年と比べて今季のアオリイカの状況はいかがですか?
勇治船長「あのね、やっぱり温暖化のせいか、去年なら10月で800g近いのが出てたの。今年は10月だと500~600gですよ、育ちが悪い。でも次の潮の時は800~900g、3回目の潮の時はもう1kgクラス。まだ始まったばっかりだから、これからだね」
とは言え、船中50杯と釣果情報を賑わせ、10月半ばに竿頭15杯・船中80杯を挙げた実績のある今季。数型共に今後の展開に期待したい。
──これから長竿釣法を始めるビギナーにアドバイスやヒントは?
勇治船長「タナを言われたら、水面で(道糸のメーターマークを)決めて、(糸を巻いてメーターマークのある)海面に竿先を持って行く。竿先と指示ダナを海面で合わせて、そこから竿が水平になるまでシャクる。シャクった時に負荷が掛からないとダメです。水圧が掛かったら海中でエギが動いてますよってこと。それでシャクった瞬間に止める。竿先が下がると必ず(ガイドに道糸が)絡まるから。シャクった時に負荷が掛からなかったら強くシャクる。かと言って大きくシャクるとダメなんだ、絡んだりするから。シャクリは強くして、ピタッと止める」
──多彩なエギのカラー、選ぶ基準は?
勇治船長「あれは潮によって。潮が明るいときには明るい色、潮が暗いときには暗い方を使った方が良い。今日みたいな日は(ヤマシタの)『軍艦グリーン』とか暗めの色にした方が良い」
──明るい・暗いというのは日光の射し方の明暗では無くて…
勇治船長「水色。あくまでもエギってのは“シルエット”。シルエットでイカは乗ってくる。濃い所と薄い所があるじゃないですか、色によって。そのシルエットでイカの方はエサなのかが解るわけ。アジ釣りの赤タンなんてのは水に入ると水より黒く見える。ケイムラなんてのは透き通ってるんだけど、夜も平気なんです。だから深くなってもケイムラは効果がある。あくまでシルエット」
アオリイカ釣りにおいて、最終的にはエギのカラーよりシャクリが重要と語る勇治船長。エギを確実に動かすために、道糸はPE3号、ハリスは6号と、キツめのシャクリに対して伸びの出ない太さにするのが得策とのこと。
「何しろね、エギってのはバランスの良いのには叶わねぇよ」と言い切る勇治船長。エギに関してはとりわけ造詣が深い船長だけに、迷ったときは無理に粘らず、素直に相談するのが釣果への近道だ。
最高級のアオリイカがこんなにお手軽♪
かくして、この日の竿頭は3杯を手にした櫻井さん。今季6回目の釣行で、最高は1日7杯。「例年より数は多い気がします」と今季の釣況を振り返った。
長竿釣法はもともと釣り座による釣果差を軽減するために考案された野毛屋発祥のスタイル。この日も胴の間の櫻井さんが竿頭だったことが、その効果を裏付けている。
取材日は船中14杯と釣果の谷間だったものの、翌日は船中23杯・釣果1~5杯オデコなしとしっかり復調。今後も賑わいが期待できる。
野毛屋のアオリイカ乗合は例年5月まで楽しめる。釣り場が比較的浅場で仕掛けの上げ下げやエギ操作がしやすい今の時期は、まさに入門に絶好のタイミング。
貸し竿は長竿よりやや短めで、初心者でも扱いやすい仕様。まずはこれで感覚を掴み、慣れてきたら長竿へ移行するのもいいだろう。
“シャクってズドン”の高揚感と、イカ界最高級と折り紙付きの味覚──アオリイカの中毒性は、実際にやってみないことには伝え切れない。ぜひ、この好機にチャレンジしてほしい東京湾が誇る魅惑のターゲットだ。

