腹膜がんステージ3の症状
腹膜がんではリンパ節に転移しているか、骨盤外に転移している状態をステージ3と呼びます。腹膜がんは初期にはほとんど症状が現れませんが、病状がステージ3まで進行すると以下のような症状が現れてきます。
もしこれに似た異常に気がついたときには、早めに医療機関で受診してください。
腹部膨満感
腹腔内を満たしている腹水は通常の状態では一定量が保たれていますが、がんにより機能不全を起こすと異常な体液貯留が起こります。正常では50cc程度のものが末期には20リットル程になることもあり、そのため腹部がふくれあがり、腹部膨満感となって知覚されるのです。
スカートやズボンがきつくなったことで気付くケースもよく見られます。
腹腰痛
腹水が溜まることにより腹部が圧迫されて、腹部や腰に痛みがみられます。また腫瘍の圧迫によっても腹腰痛が発生します。
不正出血
頻度は高くはありませんが、卵鞘腫瘍によりホルモンが生成され、不正出血がみられる場合があります。
食欲不振・体重減少
がんにより腹水が異常にたまると、消化器に障害が現れ食欲不振を引き起こし、体重減少につながります。また、がんが進行すると身体が摂り込んだ栄養をがんが吸収してしまい、体重が減少する場合もあります。
腸閉塞
腹膜がんが成長して漿膜(外側の表面)に出ると、表面から剥がれたがん細胞が腹腔のなかに散らばって転移巣を作ります。これが腹膜播種です。
この状態になり散らばった転移巣がさらに成長すると目に見えるかたまりとなり、小腸や大腸の通りが悪くなる腸閉塞を発症するケースがあります。
腹膜がんステージ3の治療法
腹膜がんは初期で自覚症状がなく発覚したときには病状が進行していがちな病気です。そのため治療も多臓器摘出など大がかりとなる傾向ですが、治療法は日々画期的な進化を遂げており、有効な方法の開発が進んでいます。
腫瘍減量術
予後を良好にするために、術後の残存腫瘍径は小さければ小さい程いいとする考え方のもと、手術により病巣の徹底的な摘出を目指す方法です。肉眼で確認できる腫瘍はすべてもしくは可能な限り、摘出をめざします。
病状によっては消化器など多臓器も摘出する場合があり、術後は化学療法が施されます。
腹水濾過濃縮再静注法(CART)
がんにより腹腔にたまった腹水を注射針で抜き、そこからアルブミンなどの身体に必要なたんぱく質などを回収して点滴で身体に戻す方法です。
CARTだけでがんが完治するわけではありませんが、大量にたまった腹水が取り除かれると、心臓への負担の軽減・むくみの解消・臓器や血管への圧迫の除去がなされ、寝たきりだった患者さんでも自分で立てるまでに回復します。患者さんの状態がよくなれば、寝たきりになり余命数週間と言われていた患者さんでもふたたびがん治療と向き合えるでしょう。
化学療法
抗がん剤を用いた治療で術後に補助療法として用いられ、手術の際に残存した病巣の消失や再発防止が目的です。
また、がんが進行しており手術を行っても腫瘍が取り切れないと判断されたり多臓器摘出が予想されたりする場合に、あらかじめ腫瘍を小さくし取り除きやすくするために術前に施されることもあります。抗がん剤ではパクリタキセル、カルボプラチンが使用されます。
免疫療法
身体が自然に持っている防御機構をいっそう強化し、がん治療に役立てようとするものです。例えば制御性T細胞は本来自己免疫病を防ぐために自己に対する免疫応答の抑制をしていますが、がん細胞はこの制御性T細胞を利用して、免疫系からの攻撃を回避しています。
この制御性T細胞のコントロールで、がんに対する免疫応答を強化し、有効な免疫療法を開発する研究が進められています。さらにTCR遺伝子治療とよばれる、T細胞にT細胞受容体遺伝子を導入してがんを特異的に攻撃するT細胞を体内に戻す治療法も開発中です。
また、白血球成分に含まれるNK(ナチュラルキラー)細胞は高いがん細胞殺傷能力を持つことで知られていますが、その増幅や活性化にはまだ課題があり、NK細胞による治療効果を引きあげるべく世界中の研究者たちが課題の克服に取り組んでいます。
緩和ケア
治療や延命を目指すのではなく、病に直面している患者さんや家族のQOL(生活の質)向上を目的とするケアです。化学療法や放射線治療など生存期間延長のための治療と組み合わせて行われ、痛みの緩和や身体的、心理的苦痛の予防やケアを行います。
痛みをやわらげる方策には、鎮痛剤や医療用麻薬の投与・放射線治療・神経ブロックなどの処置が施されることもあります。

