【国立国際美術館】絵画を「装置」と呼んだ男。中西夏之が問い直す「描くこと」の真理と震災15年目の記憶

画家・中西夏之とは?「反芸術」から「絵画への回帰」へ

中西夏之のキャリアを語る上で欠かせないのが、1960年代の「反芸術」運動です。彼は高松次郎、赤瀬川原平とともに伝説的グループ「ハイレッド・センター」を結成し、銀座の路上を清掃するパフォーマンスなど、既成の芸術枠組みを壊す活動を展開しました。

一度は絵画から離れた彼を再び筆へと向かわせたのは、暗黒舞踏の創始者・土方巽との出会いでした。身体表現との深い関わりを経て、中西は「絵画が立ち現れる場所とはどこか」という問いを抱え、再びキャンバスの前に立ちます。この「転向」こそが、中西夏之という画家の独自性を形作る重要なターニングポイントとなりました。

謎めいた言葉「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」を紐解く

本展のタイトルにもなっている「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」という言葉。中西は自身の絵画を単なる鑑賞対象ではなく、一つの「装置」として捉えていました。

異様に長い筆の謎

晩年の中西は、柄が数メートルもある長い筆を用い、画面から遠く離れて描く手法を取りました。これは、作家の主観を排し、絵画そのものが自律的に発生するプロセスを追求した結果です。

独特の色彩設計

オレンジ、黄緑、紫といった多色使いは、光と時、そして色が渾然一体となった世界の「発生と消滅」を表現しています。

中西の作品の前に立つとき、私たちは単に「絵を見る」のではなく、世界を捉え直すための「装置」の中に足を踏み入れることになるのです。

配信元: イロハニアート

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