【エジプト映画3選】古代エジプト文明の世界を探検しよう!パピルスや文字の不思議に迫る

エジプト映画③『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)

参照:『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)

最後にご紹介するのは、大ヒットを記録したアクション・アドベンチャーの金字塔『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』です。当時の最新CG技術を駆使した映像は、今見返してもまったく色褪せない迫力があります。

物語を牽引するのは、聡明で勇敢なヒロイン、エヴリン。彼女の知識と行動力に、思わず心惹かれてしまうことでしょう。

「死者の都ハムナプトラ」で、彼女たちは石棺を発見します。そこにはヒエログリフで「この櫃(ひつ)を開ける者には死が翼に乗ってやって来る」という警告が刻まれていました。

本作を象徴するモチーフの1つが、敵役となる大神官イムホテップが受けた「ホムダイ」という処罰です。人肉を食べる虫「スカラベ」に生きたまま食い殺されるという極刑で、神に対して許しがたい冒涜を働いた者に与えられます。

「ホムダイに処された者がもし蘇れば、エジプト全土を10の災害が襲う」という言い伝えの通り、映画では古代の呪いが現代に解き放たれます。

古代エジプト美術において「スカラベ(フンコロガシ)」は、糞の塊を転がして大きな球体を作るという生態から、「太陽神ケプリ」と同一視され、再生や復活を象徴する神聖なモチーフとされました。

たとえばアメンエムハト3世の治世、最初の12年間の出来事を記した5大記念スカラベがあり、業績を記録し、広く国外に配布されたそうです。

《アメンエムハト3世の名を持つサトハトホルイウネトのスカラベ》(紀元前1887年~紀元前1813年)《アメンエムハト3世の名を持つサトハトホルイウネトのスカラベ》(紀元前1887年~紀元前1813年)/ニューヨーク近代美術館※サトハトホルイウネト(シトハトホルユネト):古代エジプト第12王朝の4代ファラオ・センウセレト2世の娘。アメンエムハト3世の叔母にあたる。, Public domain, via Wikimedia Commons.

しかし本作では、そのイメージが一変!肉食の甲虫として描かれ、大量のスカラベが生きている人間の皮膚の下を這い回る……という衝撃的なシーンが頻繁に登場します。

全体的にグロテスクな描写が多いため、虫が苦手な方や心臓の弱い方はくれぐれもご注意ください。

古代の神秘的な伝説やモチーフを、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』はスリル満点のエンターテインメントとして昇華させました。美術品としてのスカラベと、恐怖演出としてのスカラベ。そのギャップを楽しみながら鑑賞してみるのもおすすめです。

まとめ:映画で紐解く、古代エジプト文明の神秘とロマン

2500年前のパピルスや石板に刻まれた文字、そして再生や復活の象徴であるスカラベ。劇中で描かれるアイテムの意味を知れば、作品をより深く味わうことができます。

難しそうな歴史や美術も、物語と一緒ならきっと身近に感じられるはずです。今度の休日は、映画という気軽に楽しめるエンターテインメントから、古代エジプト文明の世界を探検してみませんか?

参考
・マックス・ソロモン 監督『アンノウン: ピラミッドが語る古王国の記憶』(2023)
・ショーン・レビ 監督『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』(2015)
・スティーブン・ソマーズ 監督『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)
・近藤二郎 著(2020)『神秘と謎に満ちた古代文明のすべて 古代エジプト解剖図鑑』エクスナレッジ
・河合望 著(2025)『古代エジプト全史 第2版』雄山閣
・Scarab (artifact) - Wikipedia
・エジプト第12王朝の家系図

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