●問題の根っこはどこに?
須藤教授によると、子どもの万引きは、仲間に誘われる「同調型」や、保護者の関心を引こうとする「関心喚起型」など、大きく5つに分類できるといいます。そのタイプごとに問題の根っこがどこにあるかを見極める必要があると指摘します。
たとえば、「お金を払うのがもったいない」「仲間はずれにされたくなくて、誘いを断れなかった」といった動機にとどまらず、「愛情が足りず親や先生に注目してほしい」「言葉にできない強いストレスや不満といった感情を発散させる」といった背景がある場合、「万引きはダメだ」と叱るだけの表面的な対応では不十分です。
その子の家族環境など、抱えている課題に丁寧に向き合う必要があるケースは少なくありません。
「根本的な問題が未解決のまま残ると、思春期に万引き以外の非行や犯罪など、より深刻な問題行動に発展する危険性があります。初期対応は極めて重要です。
家裁調査官時代、思春期以降の非行に接してきましたが、児童期にさまざまな問題を抱えていた子どもが多くいました。子どもが小さければ小さいほど、丁寧に手を差し伸べてほしいと思います」
●万引きで「停学」になることは十分ありえる
万引きが子どもの将来に与える影響は、法的な罰則にとどまりません。進学や、SNS社会ならではのリスクも存在します。
「14歳以上の場合、万引きは少年事件として家庭裁判所で扱われることがありますが、少年事件なので前科にはなりません。そのため、記録が高校進学や将来の就職に直接影響することは、基本的にはありません」
一方で、学校生活への影響を完全に避けることは難しいといいます。
「高校生であれば、校則に基づき停学などの処分を受ける可能性があります。その結果、内申点に影響し、大学進学などの進路選択に響くケースも考えられます。
家庭裁判所が学校に照会をかけることもありますが、高校生の場合、私立校では一発退学に至らなくても、停学になることがあります。家裁の調査官であっても、高校生については学校への照会に慎重になります」

