
映画好きで知られるお笑い芸人の加藤浩次と映画ライターのよしひろまさみちが、おすすめ作品を語り合う「加藤浩次とよしひろのサタデーシネマ」(土曜朝8:00-10:10、BS10)。1月31日の放送では、2008年製作のウィル・スミス主演作「ハンコック」が紹介される。“嫌われ者のヒーロー”という斬新な設定に、熱いトークが繰り広げられた。
■完璧じゃないヒーローにこそリアルがある
映画を観終わった加藤は、ヒーローとしては異端ともいえるハンコックの自堕落さを踏まえつつ「好きですけどね」と肯定的に捉えた。注目したのはウルトラマンなどの代表的なヒーロー作品と違い、街が破壊されることに対する市民感情の描き方だ。前述の作品では結果的に街を破壊したとしても怪獣を倒すという大義名分があるためか、否定的に語られることは少ない。
本作品で描かれる建築物などに対する被害は、比較するとそれほど大きくはない。にもかかわらずハンコックは問題を解決しても嫌われ、冷たい視線を向けられてしまう。もちろん彼がパワーを制御できなかったり、我慢がきかないといった言動が原因ではある。しかし加藤はそんなハンコックに対して、「そんなに冷たくなくてもいいんじゃない?」と同情を寄せた。
また番組ではキャスティングの裏話も紹介され、当初はウィル・スミス以外にもジョージ・クルーニーやベン・アフレック、マット・デイモン、レオナルド・ディカプリオらの名前も候補に挙がっていたという。どの配役でもヒットしていた可能性はあるが、よしひろの「これはウィル・スミスで正解だろうな」という言葉には加藤も同意。ちなみに“ウィル・スミスが第一候補ではなかった理由”としては、彼にとってヒーロー作品が初めてだったという点にも触れられた。
さらに話題となったのが、前半と後半で大きく変化する作品のトーンだ。前半はコメディチックに進む一方、後半は一気にシリアスな展開へと切り替わる。この構成は批評家の間で賛否両論が巻き起こったという話を聞いた加藤は、「そうなの?ええ、いいのにね全然…」と驚きの表情を見せる。
番組ではそうした脚本の変遷についても掘り下げられた。本作の原型となる脚本は1990年代に存在していたものの、約10年間塩漬けになっていたそう。元の脚本はコメディ要素がないシリアス路線で、性的描写も含まれていたのだとか。実際にそのシーンは撮影までされたものの、試写で大不評を買ってしまいカット。時代背景やストーリーを考慮した紆余曲折の背景を聞いた加藤は、納得しつつも驚きを隠せない様子だった。
完璧で理想的なヒーローではなく自分勝手で、嫌われ、口下手で、誤解され…それでもどこか憎めない存在として描かれる「ハンコック」。ヒーロー映画の王道から外れているようでいて、だからこそ人間くささが沁みる作品だ。番組の最後、加藤が「もう一度、ウィル・スミスを主演にしてください!ノービンタで」と愛に満ちたジョークを飛ばすと、よしひろを含めスタジオに笑いが起こった。
■「ハンコック」ストーリー
自堕落な生活を送る男ハンコックは、実は不死身で空も飛べる上に超人的な力も併せ持つ地球上で無二の存在だった。彼は事件が起きるとすぐさま現場に駆けつけ、その能力を駆使して事態を解決。だが、事件の度に周囲へ大損害を与え反省もしないことから人々に非難されていた。そんなある日、彼はPR会社勤務のレイを絶体絶命の危機から救い出す。恩を感じたレイは、彼に正義のヒーローとしてのイメージアップ計画を持ちかけるが…。

