心電図検査で異常を指摘された時の注意点
以下のような点には注意が必要です。
心電図検査で異常を指摘されても放置や自己判断はしないこと
「症状がないから大丈夫」と自己判断で放置するのは危険です。心電図の異常の中には、症状が出にくいものの、重大な疾患につながる、あるいは示唆しているものもあります。
心電図の異常指摘の他にも症状がある場合は早めに受診
以下のような症状がある場合は、すぐに循環器内科の受診を検討しましょう。
・動悸や胸痛
・息切れやめまい
・一時的な意識消失(失神)
これらのような症状がある場合は、重篤な不整脈や心筋梗塞などの病気の可能性があります。
心電図検査で異常が指摘された人が見直すべき生活習慣
心電図検査で異常を指摘される場合、背景に高血圧がある方もいます。そのような際には、生活習慣を見直すことが大切です。食塩の量を制限する、アルコールは適切な量にするなどの食生活の見直しが大切です。また、肥満にならないように適度に運動する、睡眠不足にならないようにする、などが効果的と考えられます 。
心電図検査で異常があると言われたら気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「心電図検査の異常」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
不整脈
不整脈は、心臓のリズムが乱れる疾患の総称です。特に生命にかかわらないものもありますが、心房細胞などを放置すると血栓による脳梗塞などを引き起こすこともあります。症状がなくても、精密検査が重要です。循環器内科を受診しましょう。診断の際には、12誘導心電図での再検査や、ホルター心電図、心エコー検査などが施行されます。心房細動の場合、治療方法としては薬物療法やカテーテルアブレーションなどがあります。
心膜炎
心膜炎は、心臓を包む膜である心膜に炎症が生じたものです。ウイルスなどの病原体への感染や自己免疫疾患などが原因となります。原因が不明のものもあります。胸痛や動悸、発熱、運動時の息切れなどが症状として現れることがあります。また、心臓の収縮が妨げられるため、心臓の脈がうまく打てなくなり、ゆっくりになる洞不全症候群[香木3] の原因となる場合があります。心電図検査や心エコー、カテーテル検査などで検査していきます。原因によって治療法は異なりますが、抗炎症薬や抗生物質、抗真菌薬などが必要になることもあります。心臓の周りに液がたまる心嚢液貯留という状態になると、心タンポナーデにいる可能性があります。これは緊急を要するため、カテーテルなどで水を抜く処置が行われるケースもあります。
心筋症
心筋症は、心臓の筋肉である心筋が何らかの原因で障害を受ける病気の総称です。心臓が全身に血液を送りだすことが難しくなり、心不全症状が起こります。さまざまな種類がありますが、不整脈原性右室心筋症(ARVC)/不整脈原心筋症(ACM)では、QRS波の異常が見られることがあります。また、肥大型心筋症(HCM)やたこつぼ心筋症ではT波がマイナスになることが多いとされています。特発性の拡張型心筋症では、心室期外収縮(PVC)や非持続性の心室細動(VT)が認められる率が高いとされています。治療法は心筋症の種類と重症度によって異なります。薬物療法のほか、外科的埋め込み型デバイスや心臓手術が行われる場合もあります。重症心筋症の患者の中には、心臓移植が必要となる場合もあります。
心臓弁膜症
心臓内には、血液を一方向に流し続ける弁が4つあります。僧帽弁(左心房と左心室の間)、三尖弁(右心房と右心室の間)、大動脈(左心室と大動脈の間)、肺動脈(右心室と肺動脈の間)があります。心臓弁膜症には、弁が狭くなる(狭窄)、逆流する(逆流)、あるいは弁が伸びて柔らかくなり、しっかりと閉じなくなる(逸脱)などの種類があります。治療法には、薬物療法、弁修復、または弁置換術があります。心房細動の発症に関わる因子の一つとして知られています。
「心電図検査で異常があると言われた」ときの正しい対処法・改善法は?
心電図検査で異常があると言われた際には、放置せずに医療機関を受診することが大切です。
心臓の精密検査・再検査をどのくらいすぐに受けるべき?
異常がわかった後、1〜2週間以内には循環器内科での精密検査を受けましょう。心室細動など、できれば早急に精密検査が必要なものもあります。心電図検査をはじめに受けた医療機関の指示に従うようにしてください。
心臓に負担をかけないおすすめの食べ物や飲み物はあるか?
心房細動など心臓に負担がかかる原因として、高血圧や糖尿病、肥満、高尿酸血症、喫煙、飲酒などの要因が知られています。そのため、減塩をまずは意識してみましょう。お酒の飲み過ぎも避けましょう。1日日本酒1合程度とし、週に1日以上は休肝日を設けましょう。また、野菜や果物を積極的にとることも大切です。1日あたり、野菜の小鉢で5−6杯を目指してみましょう。くだものは、1日あたりバナナ1本・オレンジ1個を目安にすると良いでしょう。そして、禁煙と太りすぎないように適切なカロリー摂取も重要となります。なお、持病がある方については、どのような食事が良いのかについては、主治医と相談のうえで決めるようにしてください。
心電図に異常が見つかったら気をつけたほうが良い生活習慣はある?
心電図に異常があり、拡張型心筋症などと診断され、心不全の症状が強い際には運動制限を要する場合があります。 ただし、症状が改善し安定したら、有酸素運動を定期的に行うことで生活の質が上がることが知られています。心電図異常があった際、その原因によって運動をどれくらい行ってもよいのかは異なります。きちんと精密検査を受け、本当に病的なものなのか病気だとしてどのようなものかを調べてもらうことが重要です。
「心電図検査で異常があると言われた」ときのよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「心電図検査で異常があると言われたら」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
心電図検査で異常が見つかっても症状がなければ病院を受診しなくて良いでしょうか?
木村 香菜 医師
いいえ。健康診断などの心電図検査で異常があり「要精密検査」となった場合、受診が必要です。循環器内科を受診しましょう。
心電図検査で不整脈がわかった場合、投薬で治療できますか?
木村 香菜 医師
はい。不整脈にはさまざまなものがありますが、それぞれに対して治療法があります。例えば、脈が早い場合には、心拍数を低くするような薬を処方されるケースもあります。また、心房細動がある場合には、血栓予防のため、血液が固まりにくくするような抗凝固薬が処方されるでしょう。
まとめ 「心電図検査で異常がある」と言われたら循環器内科を受診しましょう!
今回の記事では、心電図異常があった場合に何科を受診するかについてなどを解説しました。心電図検査は、簡便かつ検査を受ける方の負担も少なく、心臓の病気を調べるのに有用な検査です。もしも異常が見つかった場合は、放置せずに循環器内科を受診しましょう。病気があるケースでも、早期発見によってその後の予後や治療の効果が上がることが期待できるでしょう。
「心電図検査」の異常で考えられる病気
「心電図検査の異常」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
不整脈心臓弁膜症
心膜炎虚血性心疾患心筋症
心電図の異常がある場合、上記のような病気が見つかることがあります。
「心電図の異常」と関連する症状
「心電図の異常」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
不整脈心臓弁膜症
心膜炎虚血性心疾患心筋症
心電図の異常がある場合、上記のような病気が見つかることがあります。
参考文献
基本検査項目/判定区分 | 日本人間ドック・予防医療学会
標準 12 誘導心電図検診判定マニュアル(2023 年度版)
2022年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン

