物価高騰の影響で、家庭で野菜を育てる人が増えています。特に都市部では、ビル屋上やベランダで野菜を育てる「アーバンファーミング」が、新たなライフスタイルとして注目を集めています。
一方で、問題となっているのが、家庭菜園で使い終わった土の処分です。中には、「土だから自然に戻るだろう」と考えて、公園や空き地、沿道の植栽帯などに捨ててしまう人もいるようです。
しかし、使用済みの土を公共の場に勝手に捨てる行為は不法投棄にあたり、罰則や行政処分の対象になる場合があります。また、園芸用の土には、外来種が混入していることがあり、環境への影響も懸念されています。
●業者に頼んで土を引き取ってもらうしか…
東京都目黒区在住の男性(40代)は最近、マンションのベランダで料理に使うハーブを育てるのが趣味だといいます。このところ野菜の価格が高騰しており、「少しでも節約したいという思いはあります」と男性は話します。
ところが、困ったのが使い終わったプランターの土です。
「ゴミに出そうと思って目黒区のサイトを見たら、収集していないと知り驚きました。そこで、どうせ同じ土なんだから近所の大きな公園に捨てようと思ったのですが…」
男性がネットで調べたところ、勝手に公園に捨てた場合は、不法投棄になると知りました。
「結局、専門の業者にお願いして、土を引き取ってもらいました。100リットルで1万円以上かかってしまいました」
●廃棄物処理法違反にあたる可能性
男性のようにきちんとした方法で処分できれば良いのですが、中には公園などに無断で捨ててしまう人もいるようです。
ケースにもよりますが、不法投棄をした場合、5年以下の拘禁刑もしくは1000万円の罰金、あるいはその両方が科されることがあります(廃棄物処理法違反)。
また、園芸用の土には、肥料成分や薬剤の残留、雑草の種や害虫の卵などが含まれていることがあります。これを他の場所に捨ててしまうと、外来植物や害虫、雑草が広がり、生態系に悪影響を与える可能性が懸念されます。
「少しの土だから問題ないだろう」と思っても、環境や地域にとっては深刻な影響を与えることがあるのです。
こうしたことから、公園管理者は土を持ち込んで捨てないよう注意を呼びかけているケースが少なくありません。

