マチアプで「ホストが客引き」全国初の摘発 なぜ逮捕? ホスクラも罰せられる? 弁護士が解説

マチアプで「ホストが客引き」全国初の摘発 なぜ逮捕? ホスクラも罰せられる? 弁護士が解説

マッチングアプリを通じて知り合った女性をホストクラブに客引きしたとして、警視庁は1月30日、新宿区歌舞伎町のホストクラブのホストの男性(27)を風営法違反の疑いで逮捕しました。マッチングアプリを通じた客引きでの逮捕は全国初とされています。

警視庁によると、男性は昨年5月から7月にかけて、アプリで知り合った20代の女性2人に対し、当初はIT業界の関係者を装って女性に接触し、デートと重ねた後で「実はホストをしている」「俺の全部を知ってほしいから来てほしい」などと客引きした疑いが持たれています。

報道によると、女性一人は男性の求めに応じてそれまで貯めた600万円を一晩で使いましたが、その後お金がないことを伝えると男性は疎遠になったそうです。

マッチングアプリを利用した客引きの摘発全国で初めてとのことですが、本記事では、マッチングアプリによる客引きがなぜ風営法違反になるのか、どのような罰則が定められているのか、そして被害者が支払った金銭は返ってくるのかについて解説します。

●マッチングアプリによる客引きは違法?

風営法第22条第1項第1号は、風俗営業を営む者が「当該営業に関し客引きをすること」を禁止しています。

「客引き」とは、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することをいいますが、具体的な内容が法律で定められているわけではありません。

一見すると、路上で通行人に声をかけて店に誘う行為を想像しますが、必ずしもそれに限られるものではありません。特に近年は、インターネットを通じた勧誘という形態が増えていることから、その内容について明確にする必要がありました。

2025年10月20日付の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」では、マッチングアプリを通じた客引きについても明確に規定されています。同通達第17の10(1)は、次のように定めています。

「法第22条第1項第1号中『客引き』とは、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することをいい、例えば、マッチングアプリ等のインターネット上で、当初は営業所の客となるよう勧誘する目的を秘して近付き、交際関係に至った段階で来店を求めるような場合であっても、『客引き』に該当し得る場合もあるものと解される」

つまり、マッチングアプリで交際を装って近づき、その後で店への来店を求める行為も、風営法上の「客引き」に該当し得るということです。

また、同通達は、「客引き」については「道路その他公共の場所」や「公衆の目に触れるような方法」でなされることは要件とされていないと明記しています。つまり、マッチングアプリという非対面の方法であっても、客引きに該当する可能性があるのです。

●罪の重さは?

客引きの罰則は、6カ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科(拘禁刑と罰金を同時に科す)です(風営法第53条第1号は、第22条第1項第1号)。

拘禁刑は、2025年改正前は「懲役」でしたが、現在は「拘禁刑」となっています。いずれにせよ、比較的軽い刑罰です。

また、ホストクラブを経営する法人も処罰される規定があります(風営法第57条第1項第2号。「両罰規定」といいます)。

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