憲法で保障されている「労働基本権」が、自治体で働く「会計年度任用職員」に及ばないのは違憲ではないか──。
そんな問いが正面から争われた裁判で、東京地裁は1月29日、「合憲」と判断した。
会計年度任用職員は、2020年4月に導入された制度で、1年契約で働く非正規の公務員だ。一般職公務員として位置づけられるため、労働組合法は適用されず、民間労働者のような団体交渉権は原則として認められていない。
近年、この制度が低賃金で不安定な非正規雇用公務員を生み出し、「官製ワーキングプア」を拡大させているとの指摘もされている。
今回の裁判では、何が、どのように争われたのか。
●外国語指導助手たちが雇い止めされた
訴えを起こしたのは、長年にわたり都立高校で働いてきた外国語指導助手(ALT)2人が所属する全国一般東京ゼネラルユニオン(東ゼン労組)だ。
制度導入にともない、2人は団体交渉が可能だった「特別職非常勤職員」から会計年度任用職員に切り替えられ、その後、雇い止めされた。東ゼン労組が東京都教育委員会に団体交渉を申し入れたが、都教委がこれを拒否した。
東ゼン労組は東京都労働委員会に不当労働行為救済を申立てたものの、会計年度任用職員には労組法が適用されないとして、申立ては却下された。
これを受け、東ゼン労組は2023年3月、都教委と都労委を相手取り、決定の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。訴状では、会計年度任用職員に団結権や団体交渉権といった労働基本権が認められないことは、憲法に反すると主張していた。
裁判の途中からは、会計年度任用職員制度を導入した総務省も、参加行政庁として加わった。
●東京地裁「憲法には反しない」
東京地裁は、会計年度任用職員は一般職の地方公務員にあたるとしたうえで、地方公務員法58条により労組法の適用が除外されると指摘した。
そのうえで、給与や勤務条件は条例で定められていることや、職員団体による意見表明の仕組み、人事委員会への申立制度が用意されていることなどを踏まえ、これらが「地方公務員の労働基本権の制約に見合う代替措置」として機能していると判断。憲法には反しないと結論づけた。
原告側は、こうした制度が実質的に機能していないとうったえていたが、裁判所はこの主張を退けた。

