「美しく仕上がっているもの」 スープ作家の有賀薫さんとカレー研究家の水野仁輔さんが考える“おいしい”とは…

「美しく仕上がっているもの」 スープ作家の有賀薫さんとカレー研究家の水野仁輔さんが考える“おいしい”とは…

有賀さんへの質問「作家という肩書きはどうですか?」

ここからはお互いに質問をし合ってもらうことに…。まず水野さんから有賀さんへの質問は、「作家という肩書きはどうですか?」というもの。自身も「カレー作家」と名乗ることがあるため、スープ作家の有賀さんにこの問いを投げかけた。

「水野さんがカレー作家と名乗るのは私ぴったりだと思うし、水野さんはもう既に作家でいらっしゃる。自分の料理を作品と呼ぶ人は作家ですよね。料理を美しいなんて言う人は、作家以外の何者でもないですよね」

そう言う有賀さんだが、スープ作家としては大変なことも多いと訴える。

「料理の仕事は実用を求められるので、私も本当は作品を作りたいと思いつつも、求められるものは作品よりも情報であり、使えるものであるので、そういうものが求められているのなら応えたいという気持ちもある。私の作っているスープがそういうものにぴったりなのであれば、なるべくそうしたいという気持ちはすごくあるんですよね」

レシピ本はたくさん出しているが、自分のやりたいことは全然できていないという葛藤もあるとか。

「私は基本的には生活の中で無理なく作れるスープを頼まれる。だから、ブレンダーを持っていないと作れないような滑らかなポタージュはダメと言われるし、野菜をいっぱい刻むから、今やミネストローネとかもほぼできないんですよ。自分の作りたいものとか自分の世界観も出したいと思うけど、なかなかそういう仕事が来ないのはちょっと大変に感じますね」

有賀さんから水野さんへの質問は、「どうしたら水野さんのようになれるのか?」というもの。料理は周りに人を集めるものだからこそ、いつもたくさんの人に囲まれている水野さんのようになりたいという思いがあるという。

「有賀さんと比べると、僕は本の売れ行きだって何分の1ですよ。山ほど出しているけど、ビッグヒットは1冊もない。SNSだってフォロワーが多いわけでもない。だから、1対多数というのが向いていないと途中でわかったんです。自費出版とかカレーの学校とかは、出会える人が本当にごくわずかですが、対面とか少数との深いやり取りのほうが自分に向いているし、そっちの方が活躍しやすいんですよ」

さらに水野さんは、「人気者がマニアックなことをごく一定数の人に向けてやることはできるが、マニアックなことをごく一定数の人に向けてやっている人が人気者になるのは難しい」と断言する。

「右から左の矢印はいけるけど、左から右の矢印はいけない。右にいる有賀さんは左をいつでもやれるんだから、やったらいいのにと思います。それでやってほしいのが、自費出版とスープの学校ですね」

2人が掲げる「2026年の目標」

最後に、2026年の目標について2人に聞いたところ、有賀さんは2つの展望を挙げた。

「自費で本というか、ZINEみたいなものを出したいと思っていて、どこかのフリマみたいなところで売りたいです。スープに関することで、商業出版ではできなさそうなこととか、ちょっとそういう活動をやりたいですね」

もう1つは、もともとやっていた「絵に戻りたい」という気持ちがあるとのこと。

「イラストみたいなものは遊びでずっと描いていたのですが、絵の具とかを出して半年くらい前から少しリハビリ的にもやっているので、それを何か形にしたいですね。料理やスープをテーマにしてやっていきたいな。ちょっと作家に近づこうかなって思っています」

水野さんは、昔から目標も夢も何にもなく、とりあえず次に控えていることを全力でやるというスタンスだという。

「自分がカレーの世界でやりたいことは、100個とか150個じゃ足りないくらいどっさりある。そういう意味では、それをとにかくやっていくのみで、それをやっていったところで、その先でどこかに行きたいとか、どうなりたいみたいなのは全くないです。ただそれをやりたいだけ。1年後とか10年後とか、将来こうなっていたいとか、昔から何もないんです。とにかく次のことを何よりも全力でやり切るだけです」

(TEXT:山田周平)

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【ゲスト】

第59回・第60回(1月9日・16日配信) 有賀薫さん&水野仁輔さん

有賀薫さん

スープ作家/10年間毎朝SNSに投稿したスープ作りから、素材を活かしたシンプルで迷いのないレシピを紹介。また、キッチンや器、道具など、現代の暮らしに合った食の形をさまざまなメディアで発信中。汁物を訪ねる「スープ旅」も4年目に。著書に、レシピ本大賞入賞作の『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)をはじめ、『スープ・レッスン』(プレジデント社)、『有賀薫の豚汁レボリューション』(家の光協会)、『私のおいしい味噌汁』(新星出版社)など多数。最新刊は『スープが作れたら、自炊は半分できたようなもの』(オレンジページ)。

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Instagram: @arigakaoru
YouTube: スープ作家・有賀薫のスープ旅

水野仁輔さん

カレー研究家/カレーの人/AIR SPICE代表/1999年、出張料理集団「東京カリ~番長」を結成し、カレー専門の出張料理人として全国各地で活動を開始。世界を旅するフィールドワークを通じて「カレーとはなにか?」を探求。「カレーの学校」「カレーの料理教室」を手掛け、本格カレーのレシピつきスパイスセットを定期頒布するサービス「⁠⁠AIR SPICE⁠⁠」を運営中。カレーに関する著書は100冊以上。『水野仁輔 システムカレー学』『世界一ていねいなスパイスカレーの本』『スパイスハンターの世界カレー紀行』『ハーブカレー』『クラッシュカレー』など。

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Instagram: @airspice_official/

【パーソナリティ】 

クックパッド株式会社 小竹 貴子

クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。

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