「知人と酒を飲むため」未就学の娘を11時間以上置き去りで逮捕、子どもは何歳から一人で留守番させられる?

「知人と酒を飲むため」未就学の娘を11時間以上置き去りで逮捕、子どもは何歳から一人で留守番させられる?

幼い娘を自宅に置き去りにしたとして、北海道旭川市の母親(24)が保護責任者遺棄の疑いで逮捕された。

北海道放送によると、母親は1月26日夜ごろ、未就学の娘を自宅に残したまま外出し、少なくとも11時間にわたって放置した疑いがある。自宅近くの路上に1人でいた娘を通行人が発見し、警察に通報したことで事件が発覚したとみられる。

母親は警察の調べに対し、容疑を認めて「知人と飲酒するためだった」と説明しているという。

この親子に夫や他のきょうだいがいるのかなど、詳しい家庭状況は現時点で明らかになっていない。ただ、子どもを自宅に残して外出する行為は、何歳からであれば許され、何歳以下だと罪に問われるのか。

また、どの程度の時間や状況であれば、刑事責任が問われるのだろうか。刑事事件にくわしい澤井康生弁護士に聞いた。

●保護責任者遺棄罪の対象「赤ちゃん〜14歳程度」

──子どもの置き去りが事件化される場合、子どもの年齢に明確な基準はあるのでしょうか。

保護責任者遺棄罪の客体となる「幼年者」、すなわち子どもについて、条文上、明確な年齢の定めはありません。ただし、一般的には「保護者の助力がなければ、食事を含む通常の日常生活を営むことができない年齢である者」とされています。

過去の裁判例では、2歳から14歳までの子ども4人をマンションに置き去りにし、そのうち1人を栄養失調症にさせた母親について、保護責任者遺棄致傷罪の成立が認められています(東京地裁昭和63年10月26日判決)。

また、親が実子である13歳の少年を餓死させた事案についても、保護責任者遺棄致死罪の成立が認められています(大分地裁平成2年12月6日判決)。

これらを踏まえると、保護責任者遺棄罪の客体となる子どもの年齢範囲は、赤ちゃんから14歳程度までが想定されると考えられます。

今回のケースは未就学の子どもであり、「幼年者」に該当することは明らかです。

●「抽象的な危険の発生」で成立

──置き去りにする時間の長さや状況によって、罪に問われるかどうかが変わるのでしょうか。

保護責任者遺棄罪は、被害者の生命や身体が実際に侵害されていなくても成立する「危険犯」とされています。

さらに、生命・身体に対する抽象的な危険が生じたと認められるだけで成立する「抽象的危険犯」とされています(大判大4年5月21日)。

そのため、理屈の上では、子どもを山中など危険な場所に置き去りにした場合、結果として事故が起きていなくても、直ちに保護責任者遺棄罪が成立します。

今回のケースは、子どもを自宅に残したまま食事などの世話をしないという不保護による遺棄の事案なので、このような場合、不保護の状態が一定時間継続すれば、その時点で生命・身体に抽象的な危険が生じたと評価され、犯罪が成立します。

未就学の子どもを約11時間(半日)にわたって放置しており、不保護による保護責任者遺棄罪が成立すると考えられます。

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