肥満症治療薬の中止後はリバウンドしやすい? 3つの注意点と適切な出口戦略を医師が解説

肥満症治療薬の中止後はリバウンドしやすい? 3つの注意点と適切な出口戦略を医師が解説

オックスフォード大学の研究グループは、過体重や肥満の成人が体重管理薬を中止した後の体重変化を分析しました。その結果、中止後は体重が増えやすく、改善していた健康指標も徐々に元に戻る可能性が示されました。2025年2月までの最新データを基にした本分析では、中止後1.7年で元の体重に戻るとの予測も出ています。リバウンドを防ぐために不可欠な「出口戦略」や、薬に頼りすぎない包括的な生活習慣改善の重要性について、濵﨑医師に詳しく伺いました。

※2026年1月取材。

濵﨑 秀崇

監修医師:
濵﨑 秀崇(医師)

東京大学理学部卒業、広島大学医学部卒業。国立国際医療研究センター病院、国府台病院勤務を経て、2024年9月より「うるうクリニック関内馬車道」に勤務。糖尿病を専門に、内科疾患および内分泌疾患を幅広く診療している。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本体力医学会評議員。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

オックスフォード大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

濵﨑先生

今回紹介する研究報告は、過体重または肥満の成人において、「体重管理薬の服用中止後にどの程度体重が増加するのか」を明らかにすることを目的に、体系的レビューとメタ分析をおこなったものです。Medline、Embase、 Web of Science、Cochrane Libraryなど複数のデータベースを用いて、2025年2月までに発表された研究を検索し、体重管理薬を8週間以上使用し、中止後4週間以上追跡した試験を対象としました。その結果、37件の研究、計9341人分のデータが分析対象となりました。

平均治療期間は39週間、平均追跡期間は32週間でした。分析の結果、体重管理薬による治療終了時の平均体重減少は8.3 kgでしたが、体重管理薬中止後に1カ月あたり平均0.4 kg体重が再び増えていました。さらに中止後1年で約4.8 kg体重が増え、1.7年で治療前の体重に戻ると推測されました。ランダム化比較試験のみを対象とした解析では、体重管理薬治療群は治療終了時点で対照群より5.7 kg多く体重が減少していましたが、治療中止後、治療群では対照群よりも、体重が1カ月あたり0.3 kg多く増加する傾向がみられました。また、心血管代謝マーカー(HbA1c、空腹時血糖値、血圧、脂質など)の改善効果は、中止後約1.4年以内に元の水準へ戻ると予測されました。初期の減量幅にかかわらず、体重の増加速度は、行動的体重管理プログラム終了後のほうが速いことが明らかになりました。

これらの結果から、体重管理薬の使用を中止すると、比較的短期間で体重が戻り、健康指標の改善効果も時間とともに失われやすいことが明らかになりました。そのため、薬物療法を短期的に用いる場合には、生活習慣改善などを含めた包括的な体重管理が重要であると考えられます。

肥満の定義・体重管理薬とは?

編集部

肥満の定義・体重管理薬について教えてください。

濵﨑先生

肥満とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、日本ではBMI25以上を基準に判定されますが、WHOではBMI30以上とされるなど、基準は国によって異なります。さらに、肥満に加えて高血圧や糖尿病などの健康障害を伴い、医学的に減量が必要と判断される場合は「肥満症」と診断されます。BMI35以上の高度肥満や高度肥満症では、より深刻な健康リスクが伴います。

近年、肥満症の治療では、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬といった体重管理薬が登場し、高い体重減少効果が示されています。これらについては一定の条件を満たせば保険適用があり、有効な治療選択肢となり得ます。

肥満や肥満症の改善には、薬を使う前に食事や運動、睡眠やストレスマネジメントなどライフスタイルの見直しが必要です。医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけ、無理のない体重管理に取り組んでいきましょう。

配信元: Medical DOC

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