連絡がつかないT君ママ
T君のママは子どものために一生懸命で、私が密かに尊敬している人。何かあったのではと心配になり電話をかけたものの、つながりません。
泣いて混乱しているT君をなだめながら、念のため彼の家の玄関先で一緒に待つことにしました。
扉の向こうから現れた、想定外の存在
10分ほど経った頃のことです。前の部屋の扉がゆっくり開き、そこからチョコンと顔を出したのは、まさかのT君のお父さんでした。
「Tが……すみません」
私は一瞬フリーズ。T君も同時に固まりました。
「え!? パパ、いたの?」
ずっと家にいたのに、なぜか気配がゼロだったのです。あまりの存在感のなさに、T君自身もパパが家にいることを完全に忘れてしまっていたようでした。ここまで存在感を消せるパパに、改めて驚きました。
T君はさっきまでの大号泣が嘘のようにピタッと止まり、しばらく父親を見あげて固まったのでした。

