安心感を積み上げていくための実践的なツールに
著者の熊野賢氏自身、10代の頃から起立性調節障害に苦しみ、朝起きられない、学校や社会との関わりに悩む日々を送ってきた経験をもつ。
同氏は、社会のペースに合わせようと必死になっても、思うように動けず、自分を責めてしまうことも少なくなかったと語る。だからこそ熊野氏は、自分と同じように「がんばれない自分」に悩む人たちに向けて、「ひとりじゃないよ」というメッセージを届けたいと考えた。
同書は、単なる自己啓発本ではなく、日々の小さな達成や気づきを記録することで、読者自身が自分を受け入れ、安心感を積み上げていくための実践的なツール。さらに、同書は生きづらさを抱える本人だけでなく、その家族や支援者にとっても貴重な一冊となるだろう。
手帳を通して自己理解を深めることで、当事者や支援者の対話のきっかけになり、誤解や不安を減らし、安心して関係性を築く手助けとなるはずだ。
手帳に書き込むことでふわっとした余白と安心感を生む
同書で提案している手帳術は、ただ日々の予定やタスクを管理するためのものではない。「今日できた小さなこと」や「心が動いた瞬間」、「ちょっとだけ前に進めた自分」を書き留めることで、自己肯定感を少しずつ積み上げられる。
例えば、外出が難しかった日でも、「朝、ベッドから起きられた」や「好きな音楽を聴けた」、「誰かに挨拶できた」といった些細なことに目を向けるだけで、自分を責める気持ちが和らぐだろう。手帳に書くことで、自分のできたことを客観的に確認でき、心の中にふわっとした余白と安心感が生まれるはずだ。
