突然発症する急性硬膜下血腫は、緊急性が非常に高いのが特徴です。そのため発症後は、早期の迅速な対応が重要です。
「ある日急に、自分や家族が脳の病気で倒れたらどうしよう」、「急性硬膜下血腫にはどのような検査や治療があるのだろう」などの不安や悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では急性硬膜下血腫の症状や治療に関する様々な疑問に答えています。
※この記事はメディカルドックにて『「急性硬膜下血腫」を発症する原因・症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
急性硬膜下血腫の検査や治療

急性硬膜下血腫が疑われるときに行われる検査は?
急性硬膜下血腫ではCT検査とMRI検査が一般的に行われます。以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。1つ目のCT検査は、最も一般的な急性硬膜下血腫の診断方法であり、高精度で迅速な診断が可能です。CT検査は頭蓋骨内のX線像を数多く撮影し、パソコンで三次元的な画像を生成するもので、異常腫瘤と異常血管や血流量の増減を確認できます。
2つ目のMRI検査(磁気共鳴画像法)は、CT検査よりも高い解像度で、組織の柔らかい部分の検査に適しています。MRI検査は磁気を利用して、脳の内部構造の詳細な画像取得が可能です。硬膜下血腫の診断にも使用されていますが、CT検査に比べて撮影に時間がかかるため、緊急性のある診断にはあまり使用されません。また、脳血管撮影検査が行われる場合もあります。
脳血管撮影検査は、異常な血流量・血流速度・血管の形状を調べられ、硬膜下血腫の診断に役立ちます。血管造影剤を用い、X線装置で撮影された脳血管を詳細に調べられます。
どのように診断されますか?
急性硬膜下血腫は、CT検査やMRI検査などの検査結果と症状を総合的に評価し、診断されます。急性硬膜下血腫の症状は、急性の頭痛・意識障害・嘔吐・片麻痺・瞳孔異常(散大・対光反応遅延)などです。これらの症状と、患者の過去の病歴や現在の症状、脳神経検査などを総合的に評価して診断がなされます。
治療方法を教えてください。
治療方法には3つの方法があります。1つ目は手術です。急性硬膜下血腫の初期段階で発見され、症状が進行していない場合には、緊急手術が行われます。手術は病変部を肉眼で確認しながら、血腫を切開して除去することが可能です。病状の回復のためにも、可能な限り早期の手術を行うことが重要です。2つ目は穿頭(せんとう)です。血腫発生部の穿頭を行い、硬膜下洗浄を行います。血腫の広がりや大きさによっては開頭手術が必要となりますが、穿頭の場合は、大きく開頭する必要がないのがメリットです。
3つ目に硬膜下ドレナージが挙げられます。硬膜下ドレナージとは、硬膜下血腫腔にドレーンを挿入し、体外へ血液を導く方法です。この方法は治療時間が短く、入院期間を短縮するのがメリットです。また、硬膜下ドレナージは手術や穿頭と併用して行われることもあります。
どのような方法で手術が行われますか?
手術は開頭血腫除去術と呼ばれる血腫を取り除く方法です。全身麻酔をかけた後、血腫の発生部の頭皮をメスで切開し、頭蓋骨を取り除きます。その部分から手術用顕微鏡を使用して血腫を除去します。一時的に取り外した頭蓋骨を戻し閉頭したら、手術が終了です。
編集部まとめ

一般的に頭部外傷によって発生する硬膜下血腫は、発症後の迅速な対応が重要となります。
急性硬膜下血腫は、患者の症状・病歴・病変の大きさ及び位置・年齢によって治療方法や後遺症の状態は異なりますが、いずれにせよ早期の診断や治療が最も大切です。
また発症後の再発や後遺症の予防にも、早期のリハビリテーションなど、早い段階での介入が重要となります。
急性硬膜下血種について詳しく知りたい方は、ぜひ記事を参考にしてください。
参考文献
頭蓋内出血
脳血管疾患の発症のリスクファクター
成人慢性硬膜下血腫の治療における硬膜下ドレナージ

