不気味な二人の会話と距離感
今回、わたしがご紹介させていただくのは、韓国映画『侵蝕』です。ヨンウンは水泳インストラクターとして働きながら、女手一つで7歳の娘ソヒョンを育てていた。疲弊しきった様子のヨンウンと、7歳の女の子とは思えないほど落ち着いた佇まいのソヒョン。
違和感のある二人の会話と距離感。さまざまな違和感が散りばめられていくなかで、徐々に明らかになっていく狂気の正体とは……。
今後の価値観にまで影響してきそうな威力
一概に「面白い」とは言えない、複雑な恐ろしさをまとった映画でした。幽霊やヒトコワ、その正体や犯罪の動機がわからなければわからないほど「面白い!」と個人的に思っているのですが、今回の映画はそのどれにもあてはまらない苦さの残るお話でした。「精神(メンタル)崩壊サスペンス・スリラー」と謳っているだけあって、今後の私の価値観にまで影響してきそうなほどの威力……もちろんフィクションなのですが、もしかすると、自分にも起こり得る可能性がある題材なのではと、ホラー映画には珍しい“責任”という単語がよぎるような、ある種新しい感覚のホラーでした。
わたし自身、「いつかは家庭を持って、自分の子供を産みたいな~」と漠然とした夢を持っているのですが、子供を産むことの責任、親になることへの責任、などなどネガティブな考えを強制的に考えさせられてしまいました。

