家族に大腸がんを発症した人がいる場合、あなた自身の発症リスクも高まる可能性があります。それは若い世代でも例外ではありません。大腸がんは生活習慣だけでなく遺伝の影響も受けるため、若いうちからの定期的な予防医療が重要視されています。なぜリスクが上がるのか、どのようなケースに注意すべきなのか、そしてどのタイミングで検査を受けるべきなのか。家族歴と大腸がんの関係を、千里丘内視鏡クリニックの松村先生に伺いました。
※2025年12月取材。
≫【1分動画でわかる】若くても大腸がんのリスクが高い人の特徴
監修医師:
松村 晋矢(千里丘内視鏡クリニック)
島根大学医学部医学科卒業。松江赤十字病院初期研修医。京都第一赤十字病院消化器内科、京都府立医科大学附属病院消化器内科、京都中部総合医療センター消化器内科医長を経て「千里丘内視鏡クリニック」を開院。医学博士(京都府立医科大学)、日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。
「若くても大腸がんのリスクが高い人」の特徴とは
編集部
「若くても大腸がんのリスクが高い人」には、どんな特徴があるのでしょうか?
松村先生
最も注意が必要なのは、「家族に大腸がんを発症した人がいる場合」ですね。特に、親・兄弟姉妹・子どもといった“第一度近親者”に大腸がんの既往があると、一般の人よりも発症リスクが約2倍高まることが知られています。また、家族が若い年齢で発症している場合は、遺伝的な要因の関与が強く、20〜40代での発症も珍しくありません。
編集部
身内に大腸がんの人がいると要注意ですね。
松村先生
その通りです。最近の研究により、家族の大腸がん歴だけでなく大腸ポリープの家族歴も重要な指標となることがわかっています。第一度近親者に大腸ポリープと大腸がんの両方があるなど条件が重なると、若年性大腸がんの発症リスクは最大で13.8倍も上昇することが報告されています。
編集部
ほかに注意したい人の特徴があれば教えてください。
松村先生
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある人、肥満や喫煙など生活習慣のリスクが重なる場合も、若い年代から注意が必要です。また、近年では食の欧米化が進み、肉食中心の食生活をしている人も大腸がん発症のリスクが高まります。
編集部
症状がなくてもリスクはあるのですか?
松村先生
あります。無症状のまま進行することが多いため、発症リスクの高い人ほど早期の検査が重要になります。
大腸がんの遺伝性と家族歴の影響
編集部
大腸がんは遺伝するのですか?
松村先生
大腸がんの多くは生活習慣などが影響しますが、研究により、約5%は遺伝性であることがわかっています。また、大腸がん罹患者の約30%はもともと遺伝的素因を持っていたと考えられています。
編集部
大腸がんにもいろいろな種類があるのですか?
松村先生
はい、遺伝性の大腸がんで代表的なのがリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)で、若い年代から大腸がんや子宮体がんを繰り返し発症するという特徴があります。そのほかにも家族性大腸腺腫症など、遺伝性疾患が存在します。ただし、遺伝性でない場合でも第一度近親者に大腸がんがあるだけでリスクは高まるため「100%受け継ぐもの」ではなく、「家系としてなりやすさがある」と理解するとよいと思います。
編集部
家族に大腸がんの人がいる場合、遺伝子検査は必要ですか?
松村先生
家族歴や発症年齢によっては、医師が遺伝カウンセリングを勧めることがあります。たとえば家族性大腸腺腫症の場合は、大腸に無数のポリープがつくられ、ほぼ100%の確率で大腸がんになります。そのように、特殊な疾患では遺伝子異常を調べることが有効です。
編集部
生活習慣でリスクは変えられるのか教えてください。
松村先生
はい。遺伝的素因があっても100%の確率で大腸がんを発症するわけではなく、生活習慣を整えることで発症リスクを下げられる可能性があります。リスクの度合いに応じて、医師の指示に従いながら対策を講じることが必要です。

