「無理をしないから長く続く」元オリックスCEO・宮内義彦90歳が現役で働き続けられる理由|和田秀樹

「無理をしないから長く続く」元オリックスCEO・宮内義彦90歳が現役で働き続けられる理由|和田秀樹

体力も気力も大きく変わる「80歳の壁」。そんな壁を軽やかに超え、現役で活躍し続ける人たちがいます。高齢者医療のカリスマ・和田秀樹が“80歳超えのレジェンド”たちと対談した内容を収録した『80歳の壁を超えた人たち』は、老いへの不安を希望に変える一冊です。

食事、運動、医療との距離感、意欲の保ち方まで、“老けない人”から幸せに長生きする秘訣を引き出した本書から、一部をご紹介します。

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宮内義彦(みやうち・よしひこ)

1935年兵庫県生まれ、90歳(2026年1月時点)。1960年ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿實業(現・双日)を経て、1964年オリエント・リース(現・オリックス)入社。社長・グループCEO、会長・グループCEOを経て現職(オリックス シニア・チェアマン)に。『諦めないオーナー プロ野球改革挑戦記』(日経BP)など著書多数。

撮影:鈴木規仁

無理をしない。気の向くままにぶらぶらと

和田 宮内さんとは、私が日大の常務理事をしていた時に何度もお会いして、その度に感動していたんですよ。だって年齢をまったく感じさせない。見た目の若さが驚異的なんです。しかもやることがアクティブですからね。

宮内 いや、老いは感じますよ。自分の年を考えてびっくりすることもある(笑)。

和田 老年医学では「見た目が若い人は老化が遅い」という指摘があります。老化が遅いから見た目が若いのか、見た目を若くしてるから老化が遅いのか、真相はわかりませんが。

宮内 私は若く見られたいとは思わない。意図して若くあろうともしてません(笑)。

和田 食事はどうですか?

宮内 少し空腹を感じるくらいが、私としてはコンフォタブル(快適)です。

和田 お酒は?

宮内 好きです。だけど酒量はかなり落ちましたね。お酒を飲みたいと思える時は、やっぱり健康なんです。毎日でも飲めますが、今は原則1日おきにしています。

和田 お酒を代謝する能力は加齢とともに落ちますからね。夜はやはり会食が多い?

宮内 今はあまりないです。昔はお客さんを呼んだり呼ばれたりね。嫌な酒を飲まにゃあいかん時もありました。ですが現役を離れ、コロナ禍もあり、家での食事が増えました。食事は家内が用意してくれます。今どきは出来合いのものや、インスタントのものも美味しくなりましたね。

和田 実は出来合いのものは、医学的にもいいんです。年をとるほど栄養の足りない害が増えてくるのですが、家で作ると、どうしても食材の品目が少なくなりがちになるんです。外で作った出来合いのものは食材の数も多いのでお勧めです。

宮内 なるほど。

和田 食事以外の健康法は? 運動とか。

宮内 私は不精ですから、気が向いたら散歩に行く程度です。それと週に1回のゴルフは続けています。きっちり何かをするようなことは、あまり好きじゃないんです。

和田 それがいいと思います。無理せず、ぶらぶらと、気の向くままに。

一番の健康法は仕事。これまでの経験を活かす

和田 実は、私が一番の健康法だと思っているのは仕事です。世間では「年をとったら引退しろ」と言う。でも仕事をできる間は、続けたほうが脳的にも身体的にも、絶対にいいはずです。

宮内 私は若い頃、「70歳を超えたら経営はやっちゃいかん」と言ってました。どんな立派な人でもちょっとした狂いが生じてくるのを見たり、聞いたりしましたからね。ところが自分が70歳になったら「俺、元気やないか」と(笑)。

和田 まだ引退は、早いと?

宮内 いや。「早く辞めにゃいかんな」とか「自分もおかしくなったらいかんな」という強迫観念はありました。だけどリーマンショックなどもあって辞めるわけにいかず、結局78歳まで続けました。

和田 それ以来12年ですか。90歳の今も現役ばりに働いておられます。

宮内 シニア・チェアマンというよくわからん肩書をつけてね(笑)。自分ではイニシアティブを握らず「頼まれ仕事だけをする」と決めました。そしたら「宮内は暇だろう」と思われるのか、あちこちから頼まれるので結構忙しい。今はかなり整理して、数社の社外役員と学校関連や公益法人の役員をしています。

和田 やはり忙しいことが、宮内さんの若さの秘訣なんだと思います。日々、新たな問題に取り組むので、脳も身体も衰える余地がありませんよね。

宮内 少しでもみなさんのお役に立っているなら誠に幸いと思います。

和田 経営者からの相談なども多いのですか?

宮内 はい。若い経営者が「相談に乗ってほしい」と、よくここにも来ますよ。

和田 素晴らしい。老化してる暇がないですね(笑)。年をとると、インプットばかりしてアウトプットは疎かになりがちです。だけど、どんなに知識を放り込んでも使わなければ意味がありませんからね。同じく、どんなに素晴らしい経験があっても、頭の中に留めておいたら宝の持ち腐れです。

宮内 仰る通りですね。

和田 一番いいのは、ネット検索では出てこないような独自の知識を持ちながら、相手に合わせて、臨機応変にアウトプットすることだと思います。宮内さんがやられてる相談は、まさにそれですよね。

宮内 経験というのは〝生きた知恵〟ですからね。私も今になって「こうしたらいい」とか「こうしたらあかん」などと思うことがありますが、結局、失敗から悟ったことが多い。コストがものすごいかかってるわけですよ(笑)。

和田 なるほど。じゃあ、失敗を聞かないのは大損ですよね。

宮内 はい。失敗した経験を教えてもらえれば、同じ過ちを犯さないですむ。だから先達の話は聞いたほうが得だと思いますね。

撮影:鈴木規仁

配信元: 幻冬舎plus

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