親の気持ちは、大人にならないと理解できないものですよね。子どものころは当たり前だと思っていた日常の裏側に、どれほど親の覚悟が秘められていたのか、大人になって初めて知ったという方もいるのではないでしょうか。今回は、筆者の知人のエピソードをご紹介します。
厳格で教育熱心だった父
「金のことなんて気にせず、勉強に打ち込め」が口癖だった父。
会社経営者で、自分にも人にも厳しく、教育にはとりわけ熱心な人でした。
思春期にはその堅苦しさが重く、いつもうんざりしていたものです。
そのせいもあって、大学時代の私は父と必要最低限の会話しかしませんでした。
そんな父が、私の卒業式で袴姿を見た瞬間、人目も憚らずにボロボロと涙を流したときは本当に驚きました。
あんなに厳しかった父が、感情を露わにして泣くなんて……。
数年後に知った衝撃の事実
父の涙の意味を知ったのは、それから数年後の帰省中でした。
不意に、母がこう漏らしたのです。
「あなたが大学2年のとき、お父さんの会社、倒産したのよ」
耳を疑いました。
暮らしぶりに変化はなかったし、学費の支払いも遅れたことはなかったはずです。
それどころか、「アルバイトもいいが、勉強もちゃんとするんだぞ」と、月々の小遣いまでくれていました。
実家がまさかそんな苦境にあったとは、当時の私は想像もしていませんでした。

