●裁判で勝っても「マイナス」? 騙される前に見抜くしかない
――その他、独身偽装問題に関して特筆すべきことはありますか。
非常にシビアな現実ですが、独身偽装の被害に遭った場合、「裁判で訴えて慰謝料を取ればいい」と安易に考えるのは危険です。
既婚者であることを隠されて肉体関係を持たされた場合、貞操権侵害として損害賠償請求は可能です。しかし、裁判で認められる慰謝料の相場は、せいぜい100万円程度にとどまることが多いのです。
そこから弁護士費用を支払い、裁判にかかる長い期間や精神的なストレスを考慮すると、金銭的にも精神的にも「勝ってもマイナス」というケースが少なくありません。費用対効果が全く合わず、結局は被害者が泣き寝入りせざるを得ないのが実情です。
つまり、この問題は「騙されてからでは遅い」のです。一度騙されてしまえば、その時点である意味「負け」が確定してしまうようなものです。だからこそ、交際前の「自衛」が何よりも重要になります。
――具体的にどのような点に気をつければよいでしょうか。
典型的な「怪しいサイン」を見逃さないことです。
たとえば、「土日や休日に決して会おうとしない」「特定の曜日にしか連絡がつかない」「頑なに自宅や最寄駅を教えない」といった行動は、家庭を持っている既婚者の典型的なパターンです。
アプリのプロフィールやメッセージだけで相手を信用せず、違和感があればすぐに立ち止まる勇気を持つこと。そして、真剣な交際へ進む前には、独身証明書などの客観的な証拠を求めること。自分の身を守れるのは、最終的には自分しかいないという意識を持つことが大切です。
【取材協力弁護士】
和氣 良浩(わけ・よしひろ)弁護士
平成18年大阪弁護士会登録 事務所代表弁護士 上場含む130社の顧問を務め、一貫して企業法務に注力。「全てはクライアントの利益のために」迅速な利益獲得を追求する。交通事故・労災事故等の賠償請求も多数扱う。
事務所名:弁護士法人ブライト
事務所URL:https://law-bright.com/

