『やばい』は受け入れられ、『リベンジ』という言葉はザラっとする…美しい日本語を発する感覚とは

『やばい』は受け入れられ、『リベンジ』という言葉はザラっとする…美しい日本語を発する感覚とは

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

『言葉』が新たな市民権を得るとき

江戸時代の泥棒言葉、隠語であった『やばい』は、もはや日本人の日常の中にすっかり浸透しました。

子どもから若者はもちろん、大人、妙齢のマダムまで『やばい』を普通に口にします。

『まずい』という意味で使われていたのが、最近ではかわいいとか、すごいとか、感動を表す意味に変化しました。

言葉は言霊ですから、『やばい』という言葉にはやばい意味、エネルギーがあり、それはその意味を現実化するのです。

やばいと口にすればするほどやばいことになる…わけです。

その意味が『かわいい』に変化したら、たくさんの『かわいい』に出会えるかはわかりませんが。

頭に手を置く女性の写真

泥棒の隠語から、一瞬の感情、感動、強調を表す言葉として一般的になった『やばい』は、現代において新たな市民権を得ました。

言語学者である金田一春彦先生は、「言葉は時代とともに絶えず動いて変化する」と言います。

その変化の流れはおそらく『時代のムード』と関係しているのかもしれません。

以前、電車の中で中学生と見られる女の子たちがおしゃべりをしていました。

何を言っているかわからない。え?日本人じゃない?耳が悪くなった?思わず確認しました。

学生の写真

LINEやショートメッセージでの会話も思わず笑ってしまうものがあります。

『了解』は『りょ』になり、『り』になりました。

『オーケー』は『おけ』に。共感は『それな』、面白いは『草』『www』…若者の集団的無意識から生まれた言葉は、ウケます。

大人になったら美しい日本語を。

その切り替えができたら素晴らしいです。

着物の女性の写真

『やばい』が市民権を得たのはもう仕方がないとして、聞いていてザラっと嫌な感じがする言葉が『リベンジ』です。

リベンジとは『復讐』『報復』という意味です。

スポーツや試験などで再挑戦するという意味で使っているのだと思いますが、なんとなく陰湿な執着心を感じてしまうのです。

「またチャレンジします」と言った方が爽やかでポジティブな印象です。

『リベンジ』という言葉の響きには、ダークなエネルギーを感じます。

もちろんこれは私の印象であって、一般的にどう響いているかはわかりません。

ただ、言葉そのものの意味を考えて発することが大切なのではないかと思います。

言葉にしたときの感覚を敏感になる。

そんな『自分の価値観というフィルター』を大切にしたいと思います。

作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー

※記事中の写真はすべてイメージ


[文/吉元由美 構成/grape編集部]

配信元: grape [グレイプ]

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