在宅介護で、生活リズムが合わずに夜中に起こされることや、転倒や体調急変への不安から常に緊張を強いられている方も多いのではないでしょうか。深夜の排泄介助や、時間を選ばない頻繁な呼び出しなどが重なれば、心身ともに休まる暇がありません。
この記事では、自宅介護での夜間ケアの具体的な対処法や、よくあるトラブルの予防策を解説します。また、ご家族の負担を軽減する夜間対応サービスや見守りアイテム、どうしても限界を感じたときの選択肢もあわせて触れます。
ご本人とご家族の生活と健康を守りながら、無理なく介護を続けるための手引きとして、ぜひ参考にしてください。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
自宅介護での夜間ケア

在宅介護では、日中だけでなく夜間の対応も求められ、介護者の睡眠時間が削られがちです。しかし、すべてのケースで手厚い介入が必要なわけではありません。
ここでは、自宅介護での主な夜間ケアの種類と、その必要性の判断基準を解説します。
自宅介護で夜間に必要なケアの種類
夜間に行うケアは、ご本人の身体状況や認知機能によって異なりますが、生命の安全を守り、不快感を取り除くことが主な目的です。
一般的に必要とされる夜間ケアは以下のとおりです。
排泄介助
体位変換(寝返りの介助)
見守りや安否確認
水分補給や服薬介助
特に頻度が高いのが排泄介助です。これにはトイレへの誘導やポータブルトイレの処理、オムツ交換などが含まれます。トイレへの誘導は転倒リスクを伴うため、慎重な対応が求められます。また、自力で動けない方には、褥瘡(じょくそう:床ずれ)予防のための体位変換が必要です。認知症による徘徊(はいかい)を防ぐための見守りなど、状況に応じた対応が求められます。
夜間にケアが必要なケース
ご本人の身体状況や病状により、ご家族の手助けが不可欠な場合があります。
具体的に、夜間のケアや見守りが必要となる主なケースは以下のとおりです。
自力で寝返りが打てない
夜間の排泄回数や量が多くオムツ交換が必要
1人でトイレに行けない、または転倒の危険がある
認知症による徘徊や不穏な行動がある
痰(たん)の吸引など医療的ケアが必要である
自分で体勢を変えられない場合、同じ部位が圧迫されて褥瘡になるリスクがあるため、2〜3時間ごとの体位変換が必要です。また、認知症で夜中に動き回る場合や、医療的ケアが必要な場合は、生命の安全を守るためにケアが求められます。
夜間のケアは不要なケース
介護をする側にも休息は必要です。ご本人の状態によっては、夜間の積極的な介入を控え、朝まで様子をみても問題ない場合があります。
以下のようなケースでは、必ずしも夜間のケアを行う必要はありません。
自力で寝返りが打てる
夜用オムツやパッドで朝まで漏れずに対応できる
日中の活動量確保や内服調整により、夜間良眠できている
医療的な処置が必要ない
排泄に関して、皮膚トラブルがなければ、吸収量の多い夜用オムツやパッドを活用して朝まで交換しない選択肢があります。よかれと思ってオムツ交換をすると、かえってご本人の目を覚ましてしまい、その後の再入眠が困難になることも少なくありません。過剰なケアは避け、お互いの睡眠を守ることも重要です。
自宅介護で夜間に発生しやすい事故やトラブル

夜間の介護現場では、日中には想定しにくいトラブルが起こります。暗がりやご本人の意識状態の変化などが重なり、深刻な事態になることも少なくありません。
ここでは、自宅介護の夜間によく起こる事故やトラブルを解説します。
転倒やベッドからの転落
医療用チューブの自己抜去
排泄物の処理困難
徘徊による無断外出
窒息
夜中に一人で動こうとして転倒し、ご家族だけではご本人を起こせないケースや骨折はよくみられます。また、胃ろうなどの管を引き抜いてしまう事故や、大量の便漏れにどう対処してよいかわからず途方に暮れることもあります。
さらに、認知症による不穏で大声を出されたり、痰(たん)詰まりや誤嚥(ごえん)で呼吸困難になったりするケースも深刻です。夜間はすぐに人を呼べない不安も重なり、ご家族の精神的負担は計り知れません。

