
無類の地図好き、池上彰が古地図を片手に街を歩く「池上彰と歩く謎解き日本地図」(BSテレ東)。シリーズ第5弾となる9月30日(火)夜7時からの放送では、お馴染みとなりつつある地図好き俳優・松重豊を連れて京都へ。現存する“最古の日本地図”や江戸時代の地図など、古都・京都ならではの出会いを楽しむ。古地図を読み解くことで生まれる発見や、逆に生まれる謎。歴史ロマンに想いを馳せながら行く京都の旅では、孤独“じゃない”グルメも堪能する。
■仁和寺所蔵の古地図に隠された謎
快晴の空の下で始まったロケでは、池上が「地図を見ながら、時代に翻弄された京都を歩く」と今回のテーマを発表。さまざまなできごとが起きた古都・京都だけに、“時代に翻弄された”という言葉もしっくりくる。
最初に訪れたのは仁和寺。というのも、仁和寺には“現存する日本最古の日本地図”があるためだ。和暦で言う仁和4年、西暦888年に建立された1000年以上の歴史を持つ寺院。いつものように飛び出る池上のうんちくを聞きながら、同寺の書記を務める磯矢さんが出迎えてくれた。
江戸時代から残されている“御室桜”、数年に一度しか一般公開されない千手観音菩薩の像、観音堂の奥にある障壁画など、さまざまな見どころを特別に紹介してもらう池上たち。そしてついにやってきたのが、お待ちかねの“日本最古の日本地図”が収められている「霊宝館」だ。
10月1日(水)から11月30日(日)までは「秋季名宝展」がおこなわれるという同施設では、さっそく西暦1305年12月に書かれた日本図を発見。700年以上前に描かれた地図を見た松重が「鎌倉の終わりにもう、こういう風に地図っていうものを作ろうと思った人がいたんですね」と感心すると、池上も大きくうなずく。
鎌倉時代末期、嘉元3年に日本全体を記したとされる同地図からは武蔵、山城、信濃、陸奥などなど、なじみのある地名がいくつも読める。しかし松重が突然「気持ち悪いっすね」とこぼしたのを聞いた池上、ニヤリと笑って「さあ、なにか不思議でしょう。なんですかその気持ち悪さは?」とクイズを出す。
松重の「南北です!」という言葉に池上おなじみの「そうなんですね」が飛び出し、解説が始まる。地図はなぜか東北地方を左手側に、関西地方を右手側に描いていたのだ。いまでは当たり前に「北が上、南が下」と考えるものだが、当時にそうした決まりごとはない。多くの行基図で、南北の上下が現在とは逆さまに描かれているという。
位置関係や形なども大まかに合っている古地図の正確さと、現代の常識とは少し外れた描かれ方。そのユニークな違いに、松重の顔は興味深そうな笑みを浮かべるのだった。
■孤独“じゃない”グルメにも感じる歴史ロマン
番組の定番となりつつある“古地図マスター”も呼んで、さらに一行の歩みは進む。今回の古地図マスターは京都ノートルダム女子大学客員教授・梅林秀行。さっそく京都御所と二条城を描いた古地図を開き、現在池上たちがいる壬生寺周辺の解説などをおこなう。
壬生寺は江戸時代には壬生村という農村で、壬生郷士という有力者がまとめていたという。その壬生郷士というのが、新選組発祥の地となる八木家。1863年に芹沢鴨、近藤勇、土方歳三らが集って新選組を立ち上げ、屯所とした家だ。
当初13人の新選組隊士が暮らしていたという八木家は現在、子孫が構えている老舗の和菓子店「京都鶴屋 鶴壽庵」に。池上と松重も吸い込まれ、壬生名物・壬生菜を練り込んだ「屯所餅」を冷たい抹茶とともにいただく。
屯所餅を手にした松重は「うわ~柔らかいし、ちゃんと壬生菜が見えますね」とさすがの食レポ。池上も「壬生菜があることによって、単なる甘さだけじゃなく隠し味になってるわけですね」と感心しきりで、ロケの疲れを癒やす甘味を堪能した。
ただそれで終わりではないのが同番組。新選組といえば血気盛んな若者が集い、幕末には決死の戦いを生き抜いた猛者の集まりだ。八木家の子孫である16代目当主・八木勢一郎に話を聞くと、「まあ筆頭局長もウチの座敷の方で、暗殺されましたので…」という衝撃の言葉が。座敷には暗殺時につけられたとされる刀傷がそのまま残されており、歴史の深みを感じられる。
そのほかにも清水寺周辺でいただく湯豆腐など、孤独“じゃない”グルメを堪能する池上と松重。古地図から見て取れる謎や新発見、ちょこちょこはさまれる池上のうんちくも見どころの「池上彰と歩く謎解き日本地図」は9月30日(火)夜7時から放送だ。

