血圧が高くなると大動脈解離を発症しやすくなる原因
高血圧は、大動脈解離を引き起こす要因として非常に重要です。主に以下の2つの段階で血管に負担をかけます。
血管の壁を弱らせる
長期間にわたり血圧が高い状態が続くと、血管の壁、特に真ん中の層(中膜)の組織が徐々に傷つき、弱くなっていきます
強い力で壁を裂く
弱くなった血管の壁に対し、高血圧によって「血行力学的な負荷」、つまり血液の流れが血管の壁を押しつけたり擦ったりする強い力(ずり応力や衝撃力)が繰り返し加わります。血圧が高いほど、この力が強くなり、血管の壁はその強い圧力に耐えきれず、大動脈の走行に沿って裂けてしまうのです。
「大動脈解離と血圧」についてよくある質問
ここまで大動脈解離と血圧について紹介しました。ここでは「大動脈解離と血圧」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大動脈解離発症後は血圧の数値はどのように変化しますか?
小鷹 悠二 医師
大動脈解離では発症直後は心臓から血管にかかる圧力が非常に高くなるため、多くの場合で血圧が急激に上昇します。
特に、発症時には上の血圧(収縮期血圧)が180 mmHg以上になることもあり、これが血管の壁に大きな負担をかけます。
しかし、解離によって以下のような重篤な合併症を伴うと、状況は一変します。
• 大動脈の破裂:心臓の周りに出血が起こり、心臓が圧迫される(心タンポナーデ)。
• 心筋虚血:心臓に血液を送る血管の血流が障害される。
これらの場合、心臓のポンプ機能が低下し、血圧が急激に低下してショック状態に陥ることがあります。
発症後の血圧は、高くても低くても命に関わる極めて危険な状態です。そのため、緊急治療では、心臓への負担を減らし、さらなる解離の進行や破裂を防ぐために、薬を使って血圧を上の血圧で100〜120 mmHg程度にまで迅速にコントロールすることが最も重要とされます
大動脈解離による血圧の左右差はどれくらいで保った方がいいのでしょうか?
小鷹 悠二 医師
上の血圧(収縮期血圧)で10mmHg以上の大きな差がある場合は、異常なサインです。この大きな左右差は、腕へ血液を送る血管(鎖骨下動脈など)が動脈硬化などで狭くなっている、または大動脈解離などの特殊な病気が原因となっている可能性があるため、詳しい検査が必要です。
そのため、大動脈解離後の方で10mmHg以上の血圧の左右差が残っている場合には注意が必要なため、主治医によく相談する必要があります。

