介護老人保健施設の入所期間と退所の目安

老健にはいつまで入所できるのでしょうか。ここでは老健の平均入所期間や、どのような状態になると退所が検討されるか、そして例外的に長期入所が認められるケースについて解説します。
介護老人保健施設の平均入所期間
厚生労働省の調査(2016年)によれば、老健の平均在所日数は299.9日で、おおむね10ヶ月という結果が出ています。老健は3〜6ヶ月程度で退所といった原則が示されていますが、実際には半年を超えて入所しているケースも多いことがわかります。もちろん、この平均値には施設ごとのばらつきもありますが、現実的には入所が長期化しているのが現状です。
参照:『介護老人保健施設』(厚生労働省)
介護老人保健施設で退所が検討される状態とは
老健では入所後3〜6ヶ月ごとに利用者の心身状態や在宅復帰の可能性についての評価が行われます。そして、具体的に退所が検討されるケースとしては、以下のような状態が挙げられます。
在宅復帰が可能になった場合
病状が安定し生活期に入った場合
医療ニーズが高まった場合
施設の定める利用期間を超える場合
以上のような理由で退所が検討され、施設側から通知されます。「まだ自宅に戻れないのに退所しなければならないのか」と不安になるご家族もいらっしゃいますが、老健退所者の約半数はほかの施設や病院に移っているのが現状です。老健に入所したら、なるべく早いうちから次の生活先の準備を考えておくことが大切だといえるでしょう。
介護老人保健施設への長期入所が認められるケース
原則は短期利用の老健ですが、例外的に長期入所が続くケースも存在します。いくつか考えられる状況を挙げます。
特別養護老人ホームなどの空き待ち
家族の事情で在宅介護が難しい場合
このように長期入所がなされる場合もありますが、いずれにせよ老健はいずれ退所する前提で利用する施設である点は変わりません。老健側も長期入所を続けていると介護報酬上の減算対象となるルールがあるため、いつまでも同じ方を受け入れ続けるのは経営上も難しい側面があります。そのため、例外的に1年以上入所できるケースはあっても、老健にずっと住み続けることは基本的にはできないと考えておきましょう。
介護老人保健施設を退所した後の選択肢

老健を退所した後、利用者はどこで暮らすことになるのでしょうか。大きく分けて在宅へ復帰するか、あるいはほかの介護施設へ移るかの二つの選択肢があります。それぞれの場合にどのような対応や準備が必要か確認しましょう。
在宅復帰する
在宅復帰には、市町村のケアマネジャーによるケアプラン作成と、デイサービス、訪問介護、福祉用具レンタルなどの在宅サービス利用を組み合わせます。老健スタッフから家族への介護指導や、外泊や外出訓練などの練習も行われます。また、手すり設置などの住宅改修や福祉用具の導入など、住環境整備も退所前に進められます。これは老健の支援相談員やケアマネジャーが中心となり調整します。
退所後も、老健から主治医やケアマネジャーへの情報提供が行われ、施設によっては電話相談などのフォロー体制があります。体調悪化時は老健のショートステイ機能を利用して再入所も可能です。在宅復帰は喜ばしいことですが、家族負担増加も伴います。サービス利用による負担軽減策を含め、老健スタッフや地域包括支援センターに十分に相談し、地域の支援を最大限に活用することが重要です。
ほかの介護施設へ移る
自宅に戻るのが難しい場合や、家族が在宅介護を希望しない場合は、老健退所後に別の介護施設へ入居する選択肢があります。実際、老健を退所した人の約半数はほかの施設や病院に移っており、自宅復帰できないケースも多いのが現状です。移行先として考えられる施設には次のようなものがあります。
特別養護老人ホーム(特養)
介護医療院
有料老人ホーム(介護付き有料老人ホームなど)
グループホーム
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
介護療養型医療施設(療養病床)
老健から他施設への移行をスムーズに行うためには、退所前から情報収集と申し込みを進めておくことが肝心です。老健の支援相談員やケアマネジャーが、希望に沿った施設を紹介してくれることもあります。また、退所時には老健から新しい施設への情報提供が行われますので、医療や介護情報の引き継ぎも心配ありません。老健を利用している間に、次に移るべき施設の種類や候補を家族で話し合い、必要なら見学や入居予約を進めておきましょう。

