同時に来店した2人の顧客…客同士の“大人な気遣い”に助けられ「スマートな対応、惚れる」【漫画】

同時に来店した2人の顧客…客同士の“大人な気遣い”に助けられ「スマートな対応、惚れる」【漫画】

『アパレる』より
『アパレる』より / (C) ぼのこ

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、漫画『アパレる』を紹介する。作者のぼのこさんが、9月1日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、ぼのこさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

■常連客同士の気遣いや店員の葛藤を描いたひと幕
『アパレる』より
『アパレる』より / (C) ぼのこ


フルール三つ星百貨店で働いている桜木春子のもとへ、同じタイミングでやってきた常連客・ウスイとセボンヌ。常連客同士の“大人な気遣い”によってスムーズな対応をする桜木たちを見て、他の店員は“今日は桜木デーだ”と話しながら仕事をしていた。

そんな状況が面白くない店員のトビ山が歩いていると、客にぶつかってしまう。身なりを見てトビ山は接客モードに入るが、桜木の顧客・フワであることを知り途端にやる気をなくしてしまった。フワが店を去った後、なぜ他の店員では駄目なのか、自分は服屋で指名したことないとトビ山がリーダーにこぼすと、リーダーは“そこが”根本的に間違っていると口を開き…。

この服屋で働く店員が見せるそれぞれの姿勢を描いた漫画を読んだ人たちからは、「わかるなあ、と思っちゃう」「スマートな対応、惚れる」「自分の仕事でも言えることで目から鱗」「若い時には分からない話で心に響いた」など、多くのコメントが寄せられている。

■「小さな気づきや学びにもつながれば」作者・ぼのこさんに漫画創作へのこだわりをインタビュー
『アパレる』より
『アパレる』より / (C) ぼのこ


――冒頭でウスイとセボンヌが見せた互いへの気遣いは、非常に格好良い大人だと印象に残りました。ぼのこさんがアパレル業界で働かれておられる間、実際に2人のような対応を顧客からされたことがあるのでしょうか?

はい。私の勤務していた店舗は百貨店という場所柄、比較的年齢層が高く落ち着いた雰囲気のお客様が多くいらっしゃいました。昔からのお付き合いのある顧客様ですと、ご来店を事前にご予約いただく場合もありましたが、ふらりと立ち寄ってくださることもあり、その際に接客のご指名が重なることもありました。そんなとき、大人の気遣い──スマートに譲り合ってくださったり、時間を空けて改めて来店してくださったり──に助けられた経験は数えきれないほどあります。

――リーダーは多くのスタッフと顧客に常に注意を向けているようで、非常に神経を使っているように思います。どのように息抜きをしているのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。おっしゃる通り、リーダーは周囲の機微に敏感であることが強みである一方、神経質で完璧主義な面も持ち合わせています。そのため、完璧を求めすぎて仕事に疲れてしまうこともあります。そうした彼女がどのように息抜きと仕事のバランスを取るのかをテーマにしたエピソードを最近公開しました(『アパレる』246話〜261話、Kindle16巻収録)。もしよろしければ、あわせてご覧いただけると嬉しいです。

――トビ山は他の店員と比べて自分本位ではありますが、どこか憎めない人柄のように思います。こういった印象について、意図して“憎めない”描き方をされておられるのでしょうか?

嬉しいご感想をありがとうございます。“自分本位さ”も含めて、それがトビ山さんらしさであり、キャラクターとしての魅力なんですよね。決して意図的に好ましく描いているわけではありませんが、私自身、相手のネガティブに見える一面もまた「その人らしさ」であり、魅力の1つだという風に考えています。そうした人の多面性をリアルに表現した結果として、今回のトビ山さんもどこか“憎めない”キャラクターとして受け取っていただけたのかもしれません。

――本作では、複数の常連客が来店し“桜木デー”と表現されていました。他の店員の日も同様にあるのでしょうか?

はい。作品内では主人公である春子に焦点を当てていますが、他の先輩や上司たちもそれぞれ顧客を抱えており、“桜木デー”のように特定のスタッフ目当てのお客様が集中する日が時折あります。舞台となっているフルール三つ星百貨店(架空の店舗)には長く勤めているベテラン販売員が多いため、お客様とのつながりも深く、そのような光景は日常的に見られるものです。

――本作で描かれたなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

ここだけの話ですが、5コマ目でセボンヌ様が春子に渡している紙袋は、実は○○屋の紙袋を描いています。実は、私自身が初めて顧客様からいただいたのが○○屋の菓子折りで、その時の喜びを忘れられず、自己満足ながらコマの中に忍ばせました。ちょっとした遊び心ですが、個人的に思い入れのあるシーンです。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

いつも『アパレる』をご愛読いただいている皆さま、本当にありがとうございます。この記事で初めて作品を知ってくださった方にも、こうして触れていただけたことを大変嬉しく思います。本作では主人公・春子だけでなく、個性豊かなキャラクターたちが等身大の姿で成長していくようすを描いています。成長や人間関係の悩みといったテーマは、アパレル経験の有無にかかわらず、多くの方に共感していただける普遍的なものだと考えています。漫画として楽しんでいただくことはもちろん、日常生活の小さな気づきや学びにもつながればと願っております。これからもぜひ楽しんでお読みいただければ幸いです。

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