雪山のバックカントリー遭難、自己責任?スキー場の責任?弁護士が「救助費用」と賠償のルール解説

雪山のバックカントリー遭難、自己責任?スキー場の責任?弁護士が「救助費用」と賠償のルール解説

●遭難者がスキー場に損害賠償を請求するケースもある

ここまでは遭難者が費用を負担するかどうかの話ですが、逆に遭難者側からスキー場や救助活動にあたった団体などの管理責任を追及する事例もあります。

ただし、無謀な行為による事故の場合、遺族の損害賠償請求を否定した裁判例もあります。

長野地裁の判決(平成13年2月1日)では、スキー場のコース外にある滑走禁止区域を滑走していたスキーヤーが雪崩に巻き込まれて死亡した事故について、スキー場の経営・管理者の損害賠償責任が認められませんでした。

判決は、スキーヤーは「スキー場にある掲示、表示ないし標識を厳守し、これに従った行動をとること」が基本的な責務であるとしました。立入禁止標識を無視して滑走禁止区域に進入した場合、その危険はスキーヤー自身が負担すべきものとされました。

また、仮に損害賠償請求が認められたとしても、損害賠償額が大きく減らされる可能性があります。これは「過失相殺」という考え方によるものです。

スキーではなく冬山登山の事例ですが、札幌高裁の判決(平成27年3月26日)では、積丹岳で遭難した男性の遺族が、救助活動の不適切さを理由に北海道に損害賠償を求めたものの、損害額の7割が控除されました。男性は天候が悪化する可能性を認識していたのに、単独で山頂まで登山を続けたことなどが過失とされました。

さらに札幌地裁の判決(平成24年11月19日)でも、救助後搬送中に過失があったとされるケースで損害額の8割が控除されています。

以上のように、無謀な滑走で事故に遭った場合、本人や遺族が損害賠償を請求しても、認められなかったり、大きく減額されたりする可能性があります。

(参考文献) ・各裁判例のほか、「債権各論Ⅱ」(平野裕之/日本評論社、2019年12月)

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

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