体力も気力も大きく変わる「80歳の壁」。そんな壁を軽やかに超え、現役で活躍し続ける人たちがいます。高齢者医療のカリスマ・和田秀樹が“80歳超えのレジェンド”たちと対談した内容を収録した『80歳の壁を超えた人たち』は、老いへの不安を希望に変える一冊です。
食事、運動、医療との距離感、意欲の保ち方まで、“老けない人”から幸せに長生きする秘訣を引き出した本書から、一部をご紹介します。
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草野仁(くさの・ひとし)
1944年旧満州生まれ、81歳(2026年1月時点)。東京大学文学部社会学科卒業後、NHKに入局。1985年に退局しフリーに。『草野仁のGate J. プラス』(グリーンチャンネル)でMCを務めている。『「伝える」極意 思いを言葉にする30の方法』(SB新書)など著書多数。
撮影:筒井義昭
新しいことに挑戦する。合っていると思ったら続ける
和田 草野さんの声はやはりすごい。よく通りますよね。僕は昔からテレビを見ていますがずっと変わらない。今日は直に聞いて感激しましたよ(笑)。
草野 ハハハ、そうですか。
和田 年をとると、普通は小さくなったり低くなったりするんです。でも元気な人の声は変わらない。草野さんは仕事柄、いろんな人に会い、話を聞いて、感動する機会も多い。脳が常に刺激されている状態です。それも若さの秘訣だと思います。
草野 幸運にも素晴らしい刺激をいただきながら、仕事を続けることができました。
和田 この連載のテーマでもあるのですが、単に長生きするのではなく、いかに元気で自分らしく生きるか、を重要視すべきです。そのために大事なのは「あれがダメ」とか「これができなくなった」と引き算で考えるのではなく、「あれもできる」「これもやりたい」と足し算で考えることです。要は前向きに生きるということです。草野さんはいつも前向きに見えます。
草野 ハハハ。いえいえ、私は大したことないです(笑)。
和田 見聞きした情報を実際に試したりもするんですか?
草野 テレビ東京系の健康番組を担当して十数年になりますが、医師が同様に「日本人は炭水化物を摂り過ぎ」と指摘します。米にしても麦やそば、うどんにしても、炭水化物のパーセンテージが多過ぎだと。例えばご飯を2膳食べる人は1膳にする。パンを2枚の人は1枚にする。それだけでも簡単に体重のコントロールはできる。とくに男性はそうだというような話を聞きましてね。
和田 なるほど。
草野 初めのうちは聞きながら「何言ってんだ。日本人は昔から米を食べないと力が出ないものなんだ」と思ってたんです。だけど頻繁に同じような話が出てくるもんだから「じゃあ、ちょっとやってみるか」と。実際に試したら3ヵ月ほどで3キロぐらい体重が減ったんです。食べる量だけでなく食べ方も変えてみました。
和田 世間では「野菜を最初に食べるのがいい」なんて言われてますね。
草野 はい。最初から米をかきこむと血糖値がバーッと上がるし、いろんな問題が出てくるというので、最初に野菜をたくさん食べるようになりました。もちろんタンパク質も摂らなきゃいけないので卵なども食べます。そうやって医師が「よい」と言うことを少しずつ実践するようになり、続けています。
和田 その結果、お元気でいる。
草野 はい。体調は安定しています。私のやり方で大丈夫でしょうか(笑)。
和田 実際にお元気なのだから合ってるんですよ(笑)。
栄養不足は厳禁。無理して痩せる必要はない
和田 年をとって健康面でとくに気をつけなきゃいけないのは「栄養不足」なんです。食は一般的に、加齢とともに細くなってきます。でもそれにまかせると、当然痩せてしまいます。
草野 痩せるのはよくない?
和田 一概に「痩せるのがいい」とか「痩せるのは悪い」とは言えません。〝痩せ方〟には2種類あるんです。ひとつは食べる量がどんどん減っていって痩せるパターン。これは悪い痩せ方です。もうひとつは運動して痩せるパターン。これは悪くはありません。
草野 なるほど。
和田 やっぱり元気なお年寄りは、よく食べますよね。
草野 本当にそうです。
和田 もちろん無理して食べたり、無理して太ったりする必要はありません。食べたいなら食べる。食べられるなら食べる。反対に、食べたいのを我慢して痩せる必要もない。実は「ちょい太ってる」くらいの高齢者のほうが、元気で長生きなんです。明らかなデータがあるのに、多くの人はそれを知りません。草野さんは食べる量がどんどん減ってくるとか、食べるのを我慢して痩せるという感じではないので、いいと思いますね。
草野 そうですね。食べたい分量を食べています。
撮影:筒井義昭

