退職代行「モームリ」社長ら逮捕 なぜ「弁護士紹介」が違法に?弁護士法72条のポイント解説

退職代行「モームリ」社長ら逮捕 なぜ「弁護士紹介」が違法に?弁護士法72条のポイント解説

●モームリの問題点は?

では、モームリのケースでは、どの部分が問題となっているのでしょうか。

報道によると、モームリの社長は「顧客から依頼された勤務先との交渉などの法律事務を提携先の弁護士に斡旋し、紹介料を得た」とされています。

この場合、問題となっているのは「法律事務の周旋」と考えられます。つまり、モームリ自身が法律事務を直接おこなったことを問題としているのではなく、依頼者を弁護士に紹介する行為を問題としています。

なお、「紹介料を得た」とされていますが、この紹介料が誰から支払われたのかは、報道からだけでははっきりしません。

ただ、先に説明したように、依頼者から報酬をもらった場合も、弁護士から紹介料(キックバック)をもらった場合も、弁護士法72条違反になります。

報道では、昨年10月の家宅捜索時に「残業代請求などを巡って勤務先との間で生じる交渉を弁護士に斡旋していた疑いがある」とされています。このことから、モームリは退職代行サービスを提供する過程で、依頼者の法律問題(残業代請求など)を弁護士に斡旋していたと推測されます。

●法律に違反した場合の刑事罰は?

この法律に違反した場合、業者側は「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」という刑事罰が科される可能性があります(弁護士法77条3号)。

また、提携していた弁護士も、非弁業者から事件を紹介してもらう「非弁提携」として、同様の刑事罰が科される可能性があります(同法77条1号)。

「紹介料」や「キックバック」は、一見するとビジネス上の慣習に見えるかもしれません。しかし、法律の世界では、依頼者の利益を害する行為として、罰則の対象となるのです。

(※)弁護士法72条:

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。