煮込みの音に、空腹が反応する。

席についたら、まず目に入るのがカウンター奥でぐつぐつと煮込まれている鍋。
看板メニューは「どて焼き(¥550*)」と「おでん(¥100〜*)」。どちらも開店当初から継ぎ足されてきた、まさに店の魂。(*2023年取材時)

どて焼きは、甘辛い味噌がしっかり絡んだ豚の小腸。コクがあって、あとを引く。
おでんは、定番の大根や玉子に加えて、見逃せないのが“しゅうまい”。
注文が入ってから鍋に入れ、ふわふわになる直前で引き上げる職人技。ひと口で、身体がほぐれる。
鯨が“ふつう”にある町の風景。

メニューの中に、ふと「おばけ」という文字が目に留まる。
それは、鯨の皮の刺身。大阪では、そんな呼び名で親しまれている。
大阪は、かつて鯨肉の流通拠点だった町。だから今も、鯨は庶民の味として息づいている。
淡路屋では「鯨ベーコン(¥600*)」と「おばけ(¥500*)」が定番。(*2023年取材時)
特別ではないけれど、ちょっと懐かしくて、ちょっと誇らしい。
この町の“ふつう”が、ちゃんと皿の上にある。
