夫の提案
夫は真剣な顔で考え始めました。
「1つ、できることがあるかもしれない」
悟が提案したのは、健也君が通っている小学校に連絡してみること。健也君は6歳で小学1年生。何度か学校でのできごとを話してくれたことがあり、通っている小学校を知っていたのです。
「直接親に言うのは難しくても、学校なら状況を把握しているかもしれない。個人面談で親と話したこともあるだろうし」
確かに、学校なら健也君の普段の様子も知っていますし、親御さんの状況も何か知っているかもしれません。私はその日のうちに小学校に電話をかけました。事情を話すと、校長先生がとても親身に話を聞いてくださいました。
「実は同じ児童の件で以前から何件かご相談をいただいておりまして…私たちも気にしていました」
校長先生の言葉に、私は驚きと同時に安堵を覚えました。私たちだけが悩んでいたわけじゃない。他にも、健也君を心配している人たちがいる。それは、私たちにとって大きな勇気になりました。
後日、校長先生からその後について連絡があり、スクールカウンセラーも交えて、健也君の親御さんと面談をすることになったと教えてくれました。
あとがき:「見えない手、繋がる心」
一人で悩みを抱え込まず、外部の機関に相談するという選択は、この物語の大きな転換点となりました。見知らぬ人たちが協力し合い、一人の子どもを気にかける様子は、社会の温かさを感じさせます。そして、その行動が健也君の未来を良い方向に変えるかもしれないという希望が、読者の心にも灯ります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

