診断を受けた場合、寿命への影響が気になる方も多いでしょう。診断後の平均的な生存期間は統計的に示されていますが、個人差が大きく、適切なケアを受けることで生活の質を保ちながら過ごすことができます。ここでは、診断後の平均余命や寿命に影響を与える要因について、具体的なデータを踏まえながら説明します。

監修医師:
鮫島 哲朗(医師)
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍頭蓋底外科センター長
【経歴】
平成2年3月宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月東京逓信病院脳神経外科部長脳腫瘍頭蓋底外科センター長
【専門・資格】
脳腫瘍頭蓋底腫瘍困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
若年性アルツハイマーと寿命の関係
若年性アルツハイマーの診断を受けた場合、寿命への影響が気になる方も多いでしょう。ここでは、平均的な経過と寿命について説明します。
診断後の平均余命
若年性アルツハイマーと診断されてからの平均的な生存期間は、10年前後とされています。ただし、これはあくまで統計的な平均値であり、個人差が大きいことに注意が必要です。発症年齢、進行速度、合併症の有無、治療やケアの内容によって、大きく異なります。同じ診断を受けても、適切なケアを受けることで、生活の質を保ちながら長く過ごすことができる方もいます。
若年性アルツハイマーは、高齢発症のアルツハイマー病に比べて進行が速い傾向があります。これは、若い脳の方が代謝が活発であることや、遺伝的要因の影響が強い場合があることが理由と考えられています。また、診断時にすでにある程度進行している場合もあり、そうしたケースでは余命が短くなる可能性があります。早期に発見されるほど、適切な対応をとる時間が長くなります。
寿命は数字だけで測れるものではなく、どのように過ごすかが重要です。本人と家族が納得できる時間を過ごすことが、何よりも大切と言えるでしょう。
まとめ
若年性アルツハイマーは、65歳未満で発症するアルツハイマー型認知症で、働き盛りの世代に大きな影響を及ぼします。初期には記憶障害や思考力・言語機能の低下、意欲の減退、感情コントロールの難しさが見られ、遺伝的要因や生活習慣病、脳内へのアミロイドβやタウタンパクの蓄積が発症に関与するといわれています。診断後の平均的な生存期間はおよそ10年で、病状は段階的に進行し、終末期には全面的な介護や緩和ケアが必要となります。若年性アルツハイマーは、本人だけでなく家族全体に影響を与える病気です。早期発見と適切な治療により進行を緩やかにすることが可能であり、医療や介護の専門家と連携しながら、本人と家族が納得できる時間を過ごすことが何よりも大切です。
参考文献
厚生労働省「認知症施策」
国立長寿医療研究センター「AMED研究若年性認知症の有病率・生活実態調査」
日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」

