先祖代々受け継いできたお墓は、家族の歴史が詰まった大切な場所です。けれど、ライフスタイルや時代の変化とともに、最近ではお墓の守り方を見直す家庭も増えてきていますよね。今回は、筆者の知人のエピソードをご紹介します。
思いがけない提案
夫の実家で法事を終えた帰り道、車中でのことです。
息子の妻のサチさん(仮名)から
「お義母さん、そろそろ墓じまいを考えませんか?」
と言われ、私は思わず耳を疑いました。
先祖代々守ってきたお墓を“墓じまい”だなんて……。
「罰当たりでは?」と正直腹が立ち、思わず「何を言っているの!? これからも息子や孫が守っていくべきでしょう」と強い口調で返してしまいました。
長く受け継がれてきたものを大切に思う気持ちがあったからこそ、その言葉をすぐに飲み込めなかったのです。
次の世代への思い
しかし、サチさんは落ち着いた声で続けました。
「決して、私が楽をしたいわけじゃないんです。夫と一緒にお墓を守っていく覚悟はあります。けれど、子どもや孫が同じ苦労を抱える未来は避けたいんです」
山奥にある立派なお墓は、我が家の誇りです。
しかし、お参りするためだけに片道数時間の移動。
草むしりの重労働、月々の管理費、今後かかるであろう修繕費……。
「私が終わらせてしまっていいのだろうか」という罪悪感はどうしても拭えないものの、たしかに負担が大きいのも事実です。
運転席の息子がサチさんの言葉に静かに頷く姿を見て、私は初めて「これは私だけの問題ではないのだ」とようやく気づきました。

