パン屋という名の、小さな集まり。

店内は、小さなカウンターと、レジ横に控えめに並ぶパンたち。でも、そこにはパン屋以上の居心地がある。
「パン教室で出会った米粉に惹かれて、いつの間にか店を持っていました」そう話す店主・井上さんは、もともとサラリーマンだった。でもこの店では、そんな経歴よりも「ここにいること」が何より自然に見える。

ふらっと立ち寄った人が、ちょっと店主と話して帰っていく。ドリンク片手に、静かにパンを頬張る人もいる。ここには、“パンを買う”以外の時間が流れている気がする。
米粉の、その先にある気持ち。
「おいしいから続けているんです」と笑う井上さん。そう笑う井上さんの背中には、でも確かな思想がある。

アレルギーを持つ子どもでも、同じ食卓を囲めること。小麦中心だった食文化の中で、米という選択肢を広げること。大きな声では語られないけれど、食材の背景や未来に、ささやかに手を添えているようなパンたち。
その優しさが、食べる側の“気持ち”にも、ちゃんと届いてくる。
