三者面談で担任は、高校の規模やあたらしい出会いの可能性を湊に説く。さらに、別の選択肢として、私立特待生の道を提示。自分の価値を認めてくれる大人の存在に、湊の心は前を向き、再び、第一志望への挑戦を決意する。
三者面談でわが子の本音を伝える
翌日の放課後。私は湊を連れて、中学校の進路指導室に向かいました。
湊は「何を話すの?」と不安げでしたが、「お母さんが先生に聞きたいことがあるだけだから」となだめました。
担任の先生は、湊の日ごろの様子をよく見てくださっていました。
「湊さん、最近、少し元気がないね。美奈子さんとのことで悩んでいるのは知ってるよ」
先生の言葉に、湊がビクッと肩をゆらしました。
「先生、湊が……美奈子ちゃんと同じ高校になるのがこわくて、志望校を下げたいと言っているんです。でも、私は湊がこれまでがんばってきた成果を形にしてほしいと思っていて…」
私は胸の内をすべてはき出しました。
里佳子から聞いた、「高校は環境がちがう」という話も、先生に本当なのか、思い切って湊の前で聞きました。
あらたな選択肢が浮上!
先生は湊の目をまっすぐに見て言いました。
「湊さん。君が行こうとしている高校は、一学年で300人以上の生徒がいる。クラスも8つに分かれるんだ。美奈子さんと同じクラスになる確率は、宝くじに当たるよりは高いけれど…それでも、たった8分の1だよ。もし、同じクラスになっても、そこにはあたらしい友だちが200人以上待っている。中学のように、特定の一人と向き合いつづける必要はないんだよ」
湊はだまって聞いています。
「それにね」と、先生はつづけました。
「ランクを下げるのは簡単だけど、一度下げたら、君のこれまでの努力はどうなる? "イヤな子から逃げるため"に、自分の将来をせばめるのは、あまりにももったいない。先生は、湊さんなら、今の志望校でも、十分にやっていけるし、そこでの生活の方が、君を成長させてくれると確信しているよ」
さらに、先生は私に向かって、こうアドバイスをくれました。
「お母さん、実はこの地域には、湊さんの成績なら、もう一段階上の、私立高校の特待生もねらえる可能性があります。そこなら、美奈子さんは受験しません。公立が第一志望なのは変わりなくても、そういう選択肢があることを知るだけで、心に余裕ができませんか?」

