「整形してるんですか?」。会社員として働く女性は、ハッキリとした顔立ちの美人だと評判なこともあり、職場の同僚や後輩の女性から、そう尋ねられることが少なくないという。
美しくなるための美容整形を公言する芸能人やインフルエンサーが増えている影響もあってか、一般の人でも整形を隠さないケースが見られるようになった。
そんな風潮もあり、尋ねてくる側は、顔の整形をポジティブな意味合いで捉えているのかもしれない。どこのクリニックで施術したのか知りたい、という関心の場合もあるだろう。
しかし、女性は、実際にはまったく整形していないにもかかわらず、「人工的な顔立ち」と指摘されているように感じ、前向きに受け止められない。毎回うんざりしているという。
職場で美容整形の有無を尋ねる行為は、ハラスメントなどに該当するのだろうか。企業法務にくわしい笹野皓平弁護士に聞いた。
●「整形している?」職場で聞いたら→ハラスメント
──「整形している?」という言動にはどんな問題が考えられますか。
職場の同僚などから「整形しているのか」と執拗に問われる行為は、法的な観点からみて、ハラスメントや不法行為に該当する可能性が十分にあります。
たとえ悪意がなく、褒めるつもりやポジティブな関心からの発言であったとしても、受け手が苦痛を感じ、職場環境が害されているのであれば看過できない問題になります。
特に今回のように、本人が否定しているにもかかわらず、繰り返し問いかけられる場合、その関係性や態様によっては「職場におけるパワーハラスメント(個の侵害)」や、相手の容姿に対する不必要な言及として「セクシャルハラスメント」に該当する可能性が高いといえます。
パワーハラスメントについては、(上司ではない)同僚や後輩による言動であっても、優越的な関係を背景にしたものと評価される場合があるため、注意が必要です。
●業務上の必要性は皆無 プライバシー権や人格権の侵害にも
──他に法的問題はないでしょうか。
そもそも、美容整形をしているかどうかは、個人の極めて私的でセンシティブな情報です。
業務上の必要性が皆無であるにもかかわらず、本人が望まない形でこうした私的な領域に踏み込むことは、プライバシー権や人格権の侵害にあたると考えられます。
また、こうした発言によって精神的な苦痛を受け、通院を余儀なくされたり、就労不能になれば、民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求されるリスクまで考えられます。

