
反町隆史、大森南朋、津田健次郎がトリプル主演を務めるドラマ「ラムネモンキー」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FOD・TVerにて配信)の第4話が2月4日に放送された。中学生のときにいじめられていた紀介(津田)たち。アラフィフになった今の叫びが多くの共感を呼んだ。(以下、ネタバレを含みます)
■中学校の同級生3人が37年ぶりに再会し、青春を取り戻す
同ドラマは、「コンフィデンスマンJP」「リーガルハイ」などを手掛けた脚本家・古沢良太氏の最新作。
主人公となるのは、大手商社勤務の吉井雄太(反町)、映画監督の藤巻肇(大森)、理容師の菊原紀介(津田)という、見た目も性格もバラバラな3人組。中学時代、雄太は通称ユン、肇は通称チェン、紀介は通称キンポーと呼ばれ、映画研究部でカンフー映画の制作をしながら、熱い青春を過ごした同級生だ。
51歳となり、「こんなはずじゃなかった」と三者三様に人生に行き詰りを感じていた中、37年ぶりに再会。3人が通うカフェの店員・西野白馬(福本莉子)の協力も得て、かつての映画研究部顧問教師・マチルダ(木竜麻生)の謎の失踪事件を追いながら、もう一度“青春の輝き”を取り戻す様を描くヒューマンコメディーとなる。
■紀介が漫画の夢を再び追う中、中学時代にけんかした不良の行方を探す
主人公3人が青春時代の記憶をひもとき、マチルダについての情報を追う様子とともに、今を映し出す。第2話は雄太、第3話は肇がメインで描かれてきて、第4話はいよいよ紀介だ。前回、肇は「俺らまだ50だ、まだまだこれからだ」と発したが、紀介も雄太たちと思い出話に花を咲かせるうち、子供のころから得意だった絵を生かした漫画に再び挑戦することに。両親から受け継いだ店の切り盛りと、父は早くに亡くなっているが、重度の認知症を患っている母・祥子(高橋惠子)の介護をしながら、進めていく。
紀介は絡んできた隣の中学の不良たちに、映画のために特訓していたカンフーの技で対抗した記憶がよみがえっていた。これまであいまいな記憶の“真相”にたどり着いてきた雄太と肇は「それは記憶じゃない。中二の“妄想”」と声をそろえる。紀介も「だよね」と分かっているのだが、そのときにマチルダが「彼らとはあとで私が話し合っておく」と言っていたのを思い出したという。さらに、不良のリーダー格が紀介の店に客として訪れていたマチルダを何度も見に来ていたことも。
マチルダをストーカーしていた人物の正体はその不良ではないか。ストーカーは酒臭かったという証言があるが、不良ならば「酒どころか、タバコもシンナーも普通にやっていたかも」と紀介。3人は、不良を探すことにする。
■50代になった紀介、夢を追えない環境のリアル
そんな中、祥子が行方不明になった。すぐに見つかったのだが、雄太と肇はこの時初めて紀介の母が認知症だと知った。紀介は「母が見つかったって電話聞いて、もちろんホッとしたよ。ホッとしたけど、心のどこかでがっかりした自分がいた。このまま母が…、まぁそうなれば、僕は自分の夢を追えるのにって。最低だろ」と胸の内をさらけ出した。
「結局、この年で夢を追うことなんてできないんだよ」なにものにも縛られることのない若い時と違って、背負うべきものがある50代のリアルが突き刺さる。
その夜、白馬がかつての不良のリーダー格だった人物の情報を見つけた。その人物=佃(東根作寿英)は評判がいい介護施設を経営する会社の社長となっていた。
3人が会いに行くと、佃は昔も今も下戸で、マチルダのストーカーではなかったと判明。紀介の店にたびたび出向いていたのは、美しい祥子を見るためだった。
今の妻と出会い「生まれ変わろう。人のために尽くそう」と決めたのだと話した佃。そのとおりに人が変わったような佃を見て、雄太と肇は祥子のことを相談しようとする。3人の中でも特に紀介のことを仲間とともにいじめていた佃は当時を反省し、便宜を図るとして握手を求めた。
■いじめられていた側の思いに切り込む、悲痛な叫びが胸を打つ
その手を握り返した紀介。だが、それは同意からのものではなかった。握手とはいえない強い力で佃の手を握る紀介は、「さぞ気持ちいいでしょうね。勝手に更生して、昔の悪事をヤンチャと言い換えて、セピア色の思い出にするのは」と語る。かつてカンフー技でやり返したのは確かだった。しかし記憶の塗り替えは、悲しいことを隠すものだった。何倍もやり返され、その後も何度も何度も暴力を振るわれたのだ。
「悪かったと思ってるなら謝るべきだ。でも、それを許すかは、こっちが決めることです」と紀介は力を込めて言う。
かつて佃たちは紀介のことを「ぼっちゃん刈り」と揶揄(やゆ)していた。でもそのヘアスタイルになったのは、病死した夫の店を継ぐために理容師免許をとった不器用な祥子が、毎日練習するなかで紀介も練習台にしてがんばっていた証でもあったのだ。祥子を美しいと見惚れた中学生の佃は、その祥子が仕上げた紀介のヘアスタイルをからかい続けた。紀介が大好きで、誇りだったものをバカにしたのだ。
「僕だけは君を許さない」。目に涙をためた紀介の痛切な叫びが響いた。不良からの更生は美談にされがち。でも、傷つけられた側が美談となるものなどなく、どれだけの時が経とうが心の傷は癒えないのだ。SNSには「キンポーの話、大共感」「キンポーの『許さない』にすごくスッキリした!」「泣けた」という声のほか、津田の怒りの演技に称賛も集まった。
雄太は紀介の態度を謝り、肇は「でもしょうがないんですよ。あなたは立派な大人になったけど俺らまだ中二病なもので」とフォロー。佃の施設の入り口で、3人が佃に向かってカンフーポーズを決めたのは最高に胸アツなシーンだった。
そして、紀介はあらたな記憶の間違いを思い出した。中学生の紀介が憧れていたのは、漫画家ではなく「母のような床屋さん」で、「僕はちゃんと自分で道を選んでた」と気付くことができた。本当は夢をかなえていた、その気付きも人生の一歩に必要だ。
そんな紀介の体調が悪化していそうなところが気になるが、前に進み続ける3人を見届けたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

