見事、合格を勝ち取り、笑顔で高校生活を送る湊。かつての親友とも、適切な距離を保てるようになり、たくましく成長した。麻美は、あの時、「逃げの選択」をさせなかった自分を誇り、かつての自分のような、悩めるママ友を支え始める。
「自分のためにがんばる」娘の力強い発言
受験当日。湊は、第一志望の公立高校の門をくぐりました。
美奈子ちゃんも同じ会場にいたはずですが、湊は一度もふり返りませんでした。
「お母さん、行ってくるね。私、私のためにがんばるよ」
そう言って笑った娘の背中は、数か月前より、ずっと大きく見えました。
結果は…私立も公立も見事、合格。
湊の努力は、最高の結果として実を結びました。最後までなやんではいましたが、最後は、自分の意思で公立を選びました。
高校生活がスタート!
そして迎えた入学式。
里佳子が言っていたことは本当でした。広い講堂に集まった新入生たちは、だれもが期待と不安を胸にした、あたらしい顔ばかり。
美奈子ちゃんも同じ高校に入学していましたが、別のクラスになり、部活動もちがう道を選んだため、顔を合わせる機会すら、ほとんどなくなったそうです。
「お母さん、あたらしい友だちができたよ! 吹奏楽部の先輩もすごくやさしくて……」
毎日、楽しそうに高校生活を語る湊。
あんなにおびえていた美奈子ちゃんとの関係も、「あぁ、そんなこともあったね」と笑えるくらい、今の湊には、自分の世界が広がっています。
もし、あの時、湊の「志望校を下げたい」という言葉をうのみにして、「逃げの選択」をさせていたら…。今のような湊の笑顔は見られなかったかもしれません。
私は、里佳子にお礼のメールを送りました。
「里佳子、本当にありがとう。あの時、背中を押してくれたおかげで、湊は自分の足で立ち上がることができたよ」
里佳子からは、すぐに返信が来ました。
「よかったね。親ができるのは、選択肢を広げてあげることだけだから。最後に歩くのは、子ども自身だもの。お互い、これからも見守っていきましょう!」

