
■年間1万人が訪れる人気酒蔵で、日本酒を深掘り体験!
徳島市にある本家松浦酒造は、創業約220年。1886年(明治19年)に清酒『鳴門鯛』の登録商標を取得し、徳島県産米や徳島県産酵母を多く使用した地元・徳島にこだわった日本酒造りを続けている。

年間1万人以上が訪れるという人気の酒蔵で、いままでは無料の酒蔵見学のみを行ってきたが、もっと深く日本酒のことを知ってもらうため、新しく有料コースを用意した。現在、募集を受付中の「松」、「竹」の2コースに、今後は料理とのマリアージュを体験する「梅」コースと、リアル蔵人体験ができる「極」コースが追加される予定だ。
■酒の寺子屋で日本酒について学ぶ
今回はまず「【梅】ラベルから味わう日本酒コース」を体験した。日本酒のラベルの見方を学ぶ「酒の寺子屋」に酒蔵内見学がついており、所要時間は約90分。

「酒の寺子屋」は、もともとはスタッフ向けに行っていたものを、よりわかりやすく改良したもの。ラベルに記載してある用語の意味を知ることによって、自分好みの日本酒を選びやすくなるという。

まずは、純米から純米大吟醸まで、酒米の精米歩合の違いを学ぶ。酒米の精米歩合の違いは、磨けば磨くほど雑味が減ってフルーティに仕上がる。数値が小さいほどしっかり磨かれており、50%以下は大吟醸、60%以下は吟醸、70%以下は純米(本醸造)というように分類が異なる。

実際に飲んでみると、確かに大吟醸はスッキリとした味。一方、純米は米のうま味やコクがしっかり残っている。筆者は、日本酒と言えば純米の印象が強かった。さらに大吟醸に醸造アルコールをくわえたものを飲み比べ。醸造アルコール入りは、香りがたってフルーティ。あと味もさらっとしていて、甘みを感じる人もいるらしい。このあたりは、どちらがよいというよりは完全に好みになるそうだ。

実際に試飲しながら進めていくため、酒の知識がない初心者にもわかりやすいのがうれしい。マニアックな日本酒も入れてあるそうで、今回は常温で19年寝かし、シェリー樽で寝かせて香り付けした古酒が登場。味はクセがあって好みが分かれそうだが、直売所にしかないような酒に出合えるのも楽しみのひとつだろう。
■歴史ロマンあふれる酒蔵見学
酒蔵内の見学では、登録有形文化財(建造物)に指定された酒蔵や精米蔵を回りながら、同酒造の歴史や酒造りに関する話を聞くことができる。


同酒造のルーツは、鎌倉時代から九州の長崎・平戸・五島あたりを根城にしていた水軍・松浦党。近くの醤油蔵も、もとは同じ一派だったのだとか。こうした歴史のロマンあふれる話を聞くのもおもしろい。

■珍しいASMR体験で“発酵の音”を聞く
次は「【竹】五感で味わう日本酒探求コース」を体験。こちらは梅コースの内容にプラスして、発酵タンクの見学(ASMR)と、徳島の食材を使った「阿波肴箱」が付く。発酵タンクの見学では実際にタンクを開けてもらい、仕込み時間別のもろみの状態を見ることができる。案内してくれたのは、同酒造の10代目蔵元で総杜氏の松浦素子さん。

おもしろいのが、発酵タンクのASMR体験。高性能収音マイク・ヘッドフォンを使い、酵母が奏でる「発酵の音」を聞くことができる。これは松浦さんが幼少のころ、ホーロー製だったタンクに、そっと耳を付けて音を聞いた体験が元になっている。

渡されたイヤホンを装着すると、表面のポコポコと泡立つ様子に合わせるように、シュワシュワという音が聞こえた。松浦さんによると、この音はもろみが元気な証拠。仕込んで4日から6日くらいのころが、一番音が大きいのだという。ここから炭酸ガスが抜けて、約1〜1.5カ月で白くてドロドロしたもろみの状態に。これを絞ると日本酒に、その絞りかすが酒粕になるのだ。

酒ラベル見方セミナーの際に付く「阿波肴箱」には、徳島の食材を使った肴がぎっしり詰まっており、試飲の楽しみも増える。

■料理とのマリアージュを知る
近日登場予定の「【松】蔵と美食を味わう日本酒マリアージュコース」も、特別に体験させてもらった。
こちらのコースでは、上記の「梅」+「竹」コースの内容にプラスして、海が見えるホテル・アオアヲ ナルト リゾートのフランス料理「フォーシーズン」または「日本料理 永代」の料理と、本家松浦酒造の日本酒のマリアージュ体験が楽しめる。今回はフランス料理のコース全7品を、それぞれに合う日本酒とともにいただいた。

前菜に合わせるのは「鳴門鯛 純米吟醸 うすにごり生酒 凛」。直売所のみで販売されている限定品で、生酒特有の微炭酸感が、重くなりがちなクリームチーズやサーモンの脂身をすっきりと流してくれる。さらに、サーモンの旨味に、うすにごりの酸味と米の香りが絶妙にマッチするので、ぜひじっくりと味わってほしい。

繊細な味の魚料理には「鳴門鯛 純米大吟醸 十代目」を。山田錦を丹念にみがき、長期醗酵させた「鳴門鯛 純米大吟醸 十代目」の甘く上品な香りとさわやかな口当たりが、鳴門鯛の旨味を引き立てる。

肉料理には「鳴門鯛 純米吟醸原酒 大古酒」をペアリング。低温調理でやわらかく仕上げられた牛フィレ肉に焦がし醤油の香りが食欲をそそる。

合わせた古酒は蔵で30年熟成させたあと、シェリー樽に移して香りを移している。好き嫌いが分かれそうなクセのある味わいだが、料理と合わせることで、双方の味の膨らみを感じられるようになるという、まさにマリアージュの醍醐味のような組み合わせだ。

料理と日本酒が互いを引き立て合い、ひと皿ごとに新しい発見があるこのコース。瀬戸内の景色とともに、ここでしか味わえない贅沢なペアリング体験を楽しめば、徳島・鳴門の魅力を五感で再発見できそうだ。特別な日のご褒美や旅のハイライトに、ぜひチェックしてみよう。
■リアル蔵人体験も登場予定
さらに今後は「リアル蔵人体験」ができる「【極】水ト米ト人で醸す一本の酒コース」も登場予定。全4回の体験で、自分たちが作った酒を瓶に詰め、ラベルを貼って持ち帰ることができる。

この日は「極」体験の一部、水につけた米を取り出し、蒸す工程を見学させてもらった。蒸し上げた米を室(むろ)へ運び、温度を確認しながら米をもんで平らに広げたあと、タネ(麹菌)を振り、ビニールと布で包む。これを約24時間おくと、米麹が完成する。

この後、原料を合わせて醸造し、しぼり(ろ過)や加水、火入れを経て、瓶詰めしてラベルを貼り、完成となる。実際に蔵人が行うことを体験できるこのコース。自ら瓶詰めした日本酒は味も格別だろう。
■限定の酒や日本酒グッズが購入できる直売所も
知識欲が満足したら、ぜひ酒蔵ならではのお土産をゲットしよう。こちらには、直売所と販売している酒を肴とともに楽しめる呑み処がある「ナルトタイの店」を併設している。

直売所には、ここでしか手に入らない限定の酒や、オリジナルの保冷バッグ、日本酒や酒粕を使ったグッズなどがならぶ。



もちろん、日本酒も充実のラインナップ。季節や数量限定など、直売店ならではの酒もそろっているので、学んだ知識を活かしつつ、自分好みの1本を手に入れたい。

ラベルの読み解きから、発酵の音に耳を澄ます体験、料理とのマリアージュまで……。五感で日本酒の奥深さに触れられる本家松浦酒造の酒蔵体験プログラム。日本酒ビギナーはもちろん、通な人にも新たな発見があるはずだ。徳島旅の目的地として、“知って飲む”楽しさを味わえる酒蔵体験を加えてみてはいかがだろう。
【梅】「ラベルから味わう日本酒コース」
酒ラベル見方セミナー「酒の寺子屋」+案内人付き酒蔵見学
お一人様 6600円
人数:最少6名 ~ 最大30名
所要時間:約1時間30分
【竹】「五感で味わう日本酒探求コース」
発酵タンクの見学(ASMR)&徳島食材の肴「阿波肴箱」+【梅コース】
お一人様 1万4000円
人数:最少6名 ~ 最大10名
所要時間:約2時間
【松】「蔵と美食を味わう日本酒マリアージュコース」
アオアヲ ナルト リゾートにて特別コースのご夕食、ご宿泊
お一人様 3万6200円
人数:最少8名 ~ 最大20名
所要時間:1泊2日
【極】「水ト米ト人で醸す一本の酒コース 蔵人体験!」
全般的な酒造りを体験いただくプログラム
お一人様 22万円
人数:最少4名 ~ 最大6名
所要時間:1泊2日の体験を3回(全6日間)
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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

