川端健太 個展「document / skin」
触覚をめぐる絵画──イメージの「表面」に潜む緊張
参考作品 oil and acrylic on panel 2025
川端さんの絵画は、一見すると静かでミニマルな佇まいを見せます。
しかし近づいてみると、鉛筆やアクリル、油彩によって重ねられた痕跡が、かすかな凹凸や線となって現れ、「触れられそうで触れられない」距離感を生み出します。
モチーフとして繰り返し登場するのは、「手」「パスポート写真」「幼児」といった、皮膚を通して他者との関係性が露わになる存在。
それらは、原初的な接触への希求と、社会制度によって管理される身体という二極的な状況を象徴しています。
川端さんは、皮膚感覚を単なる生理的機能ではなく、
自己の境界を認識し、他者や世界との関係性を構築するための知覚領域として捉えます。
本展は、私たちが「世界をどう受け取っているのか」という前提そのものを揺さぶる試みでもあります。
学生時代の作品から最新作まで──思考の軌跡をたどる展示構成
出展作品 pencil and acrylic on panel 1300 × 1010mm 2025
展示には、新作絵画に加え、修士・博士課程で制作された作品も含まれます。
若い時期の試行錯誤と、現在の成熟した表現が同時に並ぶことで、川端さんの思考がどのように深化してきたのかを立体的に読み取ることができます。
2019年に東京藝術大学大学美術館に作品が収蔵され、2023年には岡本太郎現代芸術賞に入選。
そして2026年、野村美術賞を受賞するなど、着実に評価を高めてきた川端さん。その歩みの節目に立ち会える機会とも言えるでしょう。
参考作品 oil and acrylic on panel 2025
