本町通のアーケードを抜けた先、四条通りの入り口にぽつんと佇む「お茶の千宗」。ただの“お茶屋さん”じゃない。湯気といっしょに、声とぬくもりが立ちのぼる場所。
冷たい鳩麦茶も、あったかい宇治茶も、どれも“ちょっと寄ってこか”にぴったりだ。急須のそばには、日常があって、おしゃべりがあって、やさしい時間がある。

ふだん着の宇治茶屋
にぎやかな布施駅前から少しだけ歩くと、空気がすっとやわらぐ。その先に、ふわりと現れる「お茶の千宗」。
大阪・松原市に本社を構える「宇治森徳」の直営店で、創業は1957年(昭和32年)。全国に卸すなかで、実店舗があるのは、ここ布施だけ。

看板には、まんまる顔の「かおりちゃん」。布施の人にはおなじみのキャラクターで、子どものころの記憶とつながっている人も多いらしい。この場所が“選ばれた”というより、“根づいた”感じがあるのが、なんともいい。
湯気のむこうに、おしゃべりがある
「ちょっと飲んでいき〜」迷っていると、店のお母さんが声をかけてくれる。

差し出されたのは、冷たい鳩麦茶。「キンキンじゃないけどね」なんて笑いながら、もう一杯は温かいのを淹れてくれる。
奥から急須を出して、お湯を沸かして、湯呑みを次々にあたためる。たったひとりのために、そんな丁寧な所作を重ねてくれるのが、うれしい。音もなくお茶が注がれる、その一瞬さえ美しく感じるのは、おそらく気のせいじゃない。
