イタリアの世界遺産の街7選!歴史と美術の面白さを在住者が解説

イタリア世界遺産⑤:ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの遺跡地域

ポンペイの景色(筆者撮影・井上はな)

ポンペイの名前は歴史の授業で聞いたことがある!という方も多いでしょう。

西暦79年に起きたヴェスヴィオ火山の噴火により、火山灰に埋もれてしまったポンペイ。多くの人の命が奪われた惨事でしたが、皮肉なことにその火山灰のおかげで現代まで当時の街の姿を残すことになりました。

つまり、ポンペイの世界遺産的な価値は「街が噴火の被害に遭ったこと」というよりは、「そのおかげで多くの遺跡や芸術作品が手つかずで継承されたこと」にあります。

ローマにも多くの遺跡はありますが、その多くは後世の人々によって意図的に増改築されたり、放置されて崩壊したりしているものがほとんどです。一方ポンペイは、火山灰に覆われていたため、誰にも触れられることなく保存され続けました。

最も火山灰の堆積が多かったエルコラーノというエリアでは、木造建築や食べ物までもが残っていたと言われます。灰に埋もれていたものって、そんなに良い状態で保存されるのですね…!

芸術的な面でいえば、ポンペイのフレスコ画は要チェックです。フレスコ画は湿気に弱いため保存が難しく、古代ローマ時代のフレスコ画で現存しているものは多くありません。ポンペイの壁画は、2000年もの間空気と光に触れることがなくずっと火山灰の下に眠っていたため、当時の鮮やかな色彩が最高レベルの保存状態で残されていました。

古代ローマの人の生活の様子を覗くことができる、人生で一度は訪れたい場所です。

イタリア世界遺産⑥:アッシジ、聖フランチェスコ聖堂と関連施設群

アッシジの聖フランチェスコ大聖堂(筆者撮影・井上はな)

アッシジは、ローマとフィレンツェのちょうど中間くらいの場所にある街です。小高い丘にコンパクトにまとまったベージュ色の景観は、遠くから見るとなんだかひっそりとした印象を与えます。

「清貧」をモットーに掲げた聖フランチェスコは、12世紀末のアッシジで生まれました。街全体がつつましく落ち着いた印象なのは、聖フランチェスコの影響を受けて街中にたくさんの教会があるからでしょう。

とくに注目するべきは、聖フランチェスコ大聖堂。聖フランチェスコの遺体が納められており、現代でも多くの巡礼者が目指す場所の1つです。

聖フランチェスコ大聖堂の最大の見どころは、なんといってもフレスコ画。中世イタリア美術の巨匠ジョットやチマブーエが残したフレスコ画は、教会の内装のほとんどを覆っています。目の覚めるような青色が特徴的で、当時浸透し始めていた遠近法が駆使されている点にも注目です。

観光目的の方にとっては、限られた時間の中でアッシジを訪れるのは簡単ではないかもしれません。しかし、観光客に溢れたヴェネツィアやローマに比べると、街全体は落ち着いているのでいわゆるイタリアの田舎の雰囲気を感じられる場所でもあります。

ローマからもフィレンツェからも電車で1-2時間程度なので、日帰り訪問にもぜひ!

配信元: イロハニアート

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