夫婦のミゾは決定的に…
「背後からのぞくなんてプライバシーの侵害だ!」
ともあきは、こともあろうか、私の問いかけに対して逆ギレをはじめたのです。
「仕事のためにやってて、そのために攻略する仲間として仲良くしてるだけなのに。被害妄想もいい加減にしろ! これだから視野のせまい女は!」
マジメだったはずの夫が、怒りで顔を真っ赤にして私を罵倒しました。その表情には、私への愛情も、みかへの配慮も、一切、感じられませんでした。
はげしい言い争いに、寝室で寝ていたみかが「パパ、ママ、こわい……」と泣きながら起きてきました。
その夜は、私がみかを抱きしめて泣き止ませることで強制終了となりましたが、夫は完全にしらんぷりです。そのせいで、夫婦のミゾは決定的なものになりました。
翌日から、ともあきの行動はさらにエスカレートしました。彼は私やみかと顔を合わせるのを避けるように、深夜に帰宅するようになったのです。
こわれていく夫を止められない私
不審に思って、彼が寝た後にサイフの中を確かめると、近所のネットカフェのレシートが数枚出てきました。自宅で監視されるのがいやで、わざわざ場所をうつしてゲームに没頭していたのです。
ネットカフェで彼は、自由を手に入れたかのようにふるまっていたのでしょう。制限のない時間、誰にもじゃまされない空間…。
彼はそこで、現実の責任をすべて放棄し、一介の「冒険者」として、A子に尽くし続けているのでしょう。
私は、インターネットで「ネットゲーム依存症」について調べましたが、専門的に治療できる医療機関はおどろくほど少ないのが現状でした。
夫は「いつでもやめられる」と言い張り、少しでも指摘すれば激昂し、腹いせのように課金額を増やしていく…。私は、自分の愛した人が、少しずつこわれていく様子を、なす術もなく見守るしかありませんでした。

