
写真という新たな視点から藤田芸術を再発見
ドラ・カルムス(マダム・ドラ)《猫を肩にのせる藤田嗣治》1927年 東京藝術大学所蔵
レオナール・フジタ(1886-1968)として世界的に知られる藤田嗣治。「乳白色の肌」と呼ばれる独特の画風で今なお多くの人を魅了し続ける巨匠が、実は生前に数多くの写真を残していたことをご存知でしょうか。
本展は、「写真」をキーワードに藤田の芸術を3つの視点から再考する画期的な試みです。絵画作品だけでなく、世界初公開を含む藤田自身が撮影した写真や、制作の素材となった写真資料を通じて、これまで語られてこなかった藤田嗣治の創作の秘密に迫ります。
3つの視点で解き明かす藤田嗣治の世界
ボリス・リプニツキ《藤田嗣治》1925年頃 シャーマン・コレクション(河村泳静氏所蔵/伊達市教育委員会寄託)
撮影者不明《藤田と犬》1920-29年 東京藝術大学所蔵
ドラ・カルムス(マダム・ドラ)《藤田嗣治》1925-29年頃 東京藝術大学所蔵
1 絵画と写真につくられた画家
おかっぱ頭に口髭、丸眼鏡という奇抜な風貌で知られた藤田。パリ画壇で名を馳せた彼は、自らのイメージを戦略的に演出していました。本セクションでは、ドラ・カルムス(マダム・ドラ)やボリス・リプニツキといった著名な写真家が撮影した藤田の姿や自画像を通じて、メディア戦略に長けた画家の一面を紹介します。
猫を肩にのせた姿、愛犬と戯れる様子、パイプと扇子を持つ姿など、写真に「撮られる」藤田の多彩な表情から、アイコン的なイメージがいかに作られていったかを探ります。
2 写真がつくる絵画
旅先の風景や人物をカメラに収めていた藤田。彼は写真の細部を自在に組み合わせ、絵画の構図を作り上げることもありました。本セクションでは、絵画作品とその素材となった写真を併せて展示し、制作プロセスを詳しく分析します。
写真から「描く」画家の創作手法を目の当たりにすることで、藤田芸術の新たな魅力を発見できるでしょう。
3 画家がつくる写真
世界初公開も含む藤田撮影の写真を展示する本セクションは、展覧会の大きな見どころのひとつです。絵画作品にも引けを取らない写真作品の魅力を探りながら、観る者に記憶を喚起させる「写真」という媒体を通して、藤田の眼が捉えた世界を追体験します。
画家が写真を「撮る」行為の中に、藤田の芸術観や美意識がどのように表れているのか。新鮮な驚きとともに、藤田嗣治という芸術家をより深く理解する機会となるはずです。
ボリス・リプニツキ《アトリエの藤田(自分を模したマネキンと)》1925年頃 シャーマン・コレクション(河村泳静氏所蔵/伊達市教育委員会寄託)
撮影者不明《パイプと扇子を持った藤田》1932年 東京藝術大学所蔵
撮影者不明《窓にもたれる藤田》1930-39年頃 東京藝術大学所蔵
