●「裁判に勝った」の意味は一様ではない
──勝訴したにもかかわらず、原告が金銭的な負担を負うケースは実際にあるのでしょうか。
「金銭的負担」をどう捉えるかによって答えは変わります。
裁判を起こすには、請求額に応じた印紙代や郵券代を裁判所に納める必要があります。出廷すれば交通費もかかりますし、弁護士に依頼すれば、その費用や打ち合わせのための経費も生じます。
こうした支出も含めて考えると、裁判には一定のコストが伴います。
また、「裁判に勝った」という言葉の受け止め方も人それぞれです。実際に回収できた金額と、かかった費用を比べて「黒字になった」ことを勝利と考える人もいれば、判決で請求が認められたこと自体をもって「勝った」と感じる人もいます。
仮に裁判で請求が棄却されたとしても、裁判を起こしたことで物事が解決に向かったり、社会的な意義を見出したりして、結果的に「勝った」と感じる人もいるでしょう。
今回の質問をシンプルに「請求が認められたにもかかわらず、訴訟実費(印紙代など)を下回るケースはあるか」という意味で受け取るのであれば、現実的に十分あり得ます。
印紙代は、請求額に比例して高くなります。たとえば、請求額が1億円の場合、1審の印紙代は32万円です。仮に一部勝訴でも、認められた金額が32万円未満であれば、計算上は赤字になります。
●弁護士費用は事前に十分な説明を求めるべし
──一般的な裁判費用や弁護士費用、損害賠償の計算方法について教えてください。
裁判所に納める印紙代や郵券代は、訴訟の内容や請求額によって異なります。
1審地裁では、請求額が10万円までなら印紙代は1000円、20万円までなら2000円といった具合です。郵券代は数千円から1万円程度になることが多いです。
弁護士費用については、弁護士ごとに異なるため一概には言えません。私の場合、事件を受任する際に着手金をいただき、事件終了時に報酬金をいただく形を取ることが多いように思います。
成果がなかった場合には、報酬金が発生しない契約です。報酬金の算定方法は、事前に契約で定めます。たとえば、「認容額の5%」といったかたちです。
そのほか、交通費や日当などの実費をいただく場合もあります。
いずれにしても、弁護士は受任前に費用について説明し、契約書に明記したうえで業務をおこないます。不明なことがあれば、事前にしっかり確認することが、のちのトラブル防止につながります。
また、たとえば、思っていたよりも高額であるなど、費用面で不満があれば、依頼することをきちんと断ることも大事です。

