●「ストーカー問題にも対応?」と迷ってもまずはDV防止センターへ
困った被害者はまず、どこに、何を相談をすればよいのか。
「動機が恋愛に関するストーカーであれば、まずは地域のDV防止センター(配偶者暴力相談支援センター)がよいでしょう。それから、弁護士、警察と覚えてください。DV防止センターは、DVだけではなく、ストーカーの問題にも対応すべき機関で、多くは看板に記載がありませんが、ストーカーの問題にも対応することはあまり知られていません。男性でも相談にのってくれます。
警察に行くと、そっけない対応をされることが少なくありません。相談者の心の迷いを聞き取ってくれて、細かいアドバイスを警察に求めるのはかなり難しいのです。困ったらまずはDV防止センターです。最初は本当に何もわからないと思いますので、初めの一歩は『どうしたらよいでしょうか』と尋ねる。それで大丈夫です」
DV防止センターの職員が、必要に応じて、弁護士につないでくれたり、警察の相談に引き継いでくれたり、付き添ってくれることもあるという。
●自分だけで判断しない
自分を殺しにくるような可能性があるストーカーは「全体の5%未満」だと小早川さん。とはいえ、ストーカーの加害の深刻さは専門家でないと判別しにくいことがあるという。
そこで、自らの状況を伝え、加害の深刻さを見極める必要がある。自らの判断ではなく、なるべく専門家の意見をあおぐ。
「深刻な状況にあると判断したら、避難するなど安全を確保します。勤務先にまでストーカーが押しかける可能性があるのであれば、職場にオンラインでの勤務への移行を求めるなど、出退勤の協力をあおぎましょう。それは最低限やるべきことです。
そのうえで警察から警告をしてもらいます。そして弁護士に頼んで二度と付きまとわないことを誓約するように申し入れるか、民事訴訟を起こすことを勧めています。職場に行けないとか仕事を辞めたとか、引っ越しをしたとなれば、実損が生じていますから賠償請求ができます。警察が警告をしているようなケースでは民事訴訟でも有利に働きます」
小早川さんは、深刻な状況にある相談者に対して「あなたの安全のためにも訴訟を起こしてほしい」と伝えている。
賠償を求めること「だけ」が弁護士に期待される役割ではない。

