八ヶ岳で花開いた縄文文化!動物?炎?ユニークな造形たくさん

土器で伝えられた物語

縄文時代の中期頃、日本各地で豊かな造形や多彩な文様を持つ土器が盛んに作られるようになりました。

簡素な面を美しく飾るためにつけられた文様は、縄、木の棒、貝、鳥の羽などを使い、押し付ける・転がす・傷付けるといった創意工夫によって、多様な「装飾性文様」へと発展していきました。

しかし、八ヶ岳周辺で作られた土器は、そうした単なる装飾の域を大きく超えた、他に類を見ない特徴を備えています。

それは、土器そのものが「物語」を語っているという点です。文字を持たなかった縄文人たちは、自分たちの信じる神話や物語の登場人物を土器に描き出すことで、大切な物語を後世へと伝えていったと考えられています。

顔の装飾がある土器

①「顔面装飾付土器」茅野市尖石縄文考古館 筆者撮影①「顔面装飾付土器」茅野市尖石縄文考古館 筆者撮影

この地域の土器には「顔」が装飾されたものが多くあります。土器につけられた「顔」は地域共通の表現で、縄文人が共有した物語などの登場人物と見られます。

それらは一つの遺跡から一つしか出土しない例が多いことから、そのムラにおいての「特別な土器」であった可能性が高いようです。

土器は「胴の膨らんだ」形をしているものが多いため、土器そのものを妊婦や女神として捉えていたという見方があります。さらに、その「顔」の約8割は土器の内側を向いていることから、お腹にいる生命を見守っている姿であるとも言われています。

また、これらの土器を「作物を擬人化した造形」と見る説もあります。

世界各地の伝承や、日本書紀や古事記に見られる「食物の女神が殺され、その死体から作物が誕生する」というハイヌウェレ型神話に重なるからです。貯蔵や煮炊きの道具である土器に、生命の誕生や犠牲の物語を重ねることで、食料の永続的な確保と豊穣への祈りを込めたのかもしれません。

配信元: イロハニアート

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