出産を表している土器
②「出産文土器(顔面把手付深鉢)」北杜市考古資料館 筆者撮影
「出産文土器」は、土器全体が妊娠した女性を表わしていると考えられている土器です。
土器の上部の顔が「母親」であり、中ほどの小さな顔が「今まさに生まれようとする赤ちゃん」を表現していると言われています。
よく見ると、その小さな顔の下には2本の足のような造形があり、出産のリアルな瞬間を写し取っているかのようです。
この出産文土器にはいくつかのバリエーションが存在します。
「赤ちゃんの顔」がないものや、顔の代わりに小さな「点」が表現されているものがあります。それらの違いは、胎児が腹中で成長し、やがて誕生へと至るまでの「生命のプロセス」を表現していると考えられています。
土偶が張り付いた土器
③「土偶装飾付有孔鍔付土器」北杜市考古資料館 筆者撮影
土偶が土器の側面に張り付いたような造形です。この人物像は「3本指」の左手をあげていますが、それは「天と地を繋ぐポーズ」、また「再生の儀式」ではないかという見方もあります。
このような表現は他にも見られることから、当時の神話や物語における重要な場面を表しているとも考えられるようです。
また土器の口縁部(上部)には小さな穴がぐるりと一周巡っています。この特徴から、土器の用途についてはいくつかの説があります。
縄文時代には山ぶどうなどを発酵させた酒が造られていた形跡があるため、「酒造りのための樽」であったという説。あるいは、上部に動物の皮を張り、儀式で打ち鳴らす「太鼓」にしていたという説など、生活の中での土器の役割が様々に想像されています。
